「一条工務店はナフサショックに負けない」の真実|納期・価格リスクと施主が今すべき防衛策

「一条工務店の家は約8割が自社工場生産」。高性能住宅を検討されている方なら、一度は耳にされたことがあるフレーズかと思います。しかし、2026年6月現在、中東情勢の緊迫化を背景とした「ナフサショック」により、私たちの家づくりをとりまく環境は、これまで経験したことのない難しい局面を迎えています。
日々、メーカーからの納期遅延や価格改定のお知らせに触れている立場で、今の住宅業界で何が起きているのか、そして、一条工務店を検討・契約されている施主様がどう備えるべきか、整理してみました。
記事のポイント
- ナフサショックとは
- 一条工務店の強み
- 内製化8割の一条工務店の弱点
- 安心の住宅メーカーは?
- 我々ができる予防対策
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
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目次
2026年6月、住宅業界の今、「納期」から「価格高騰の慢性化」へ

- 2026年6月、住宅業界を襲う「ナフサショック」の現状
- 一条工務店への影響|「工場生産」というモデルの強みと限界
- 「どこを選べば絶対安全」と言い切れるメーカーはない
- 予算と納期を守り、家づくりを前進させるための「4つの防衛策」
2026年6月、住宅業界を襲う「ナフサショック」の現状
現在、建設業界全体で「ナフサショック」と呼ばれる深刻な影響が出ています。断熱材や塗料、接着剤、防水材といった石油由来の資材が不足し、一部では受注制限や大幅な価格改定が行われています。
一条工務店からも公表されている通り、業界全体で資材や物流の混乱が続いており、中東情勢の影響は、特定のメーカーだけでなく、住宅を建てるすべての方に無関係ではない状況です。特に外部調達品(トイレ、バス、給湯器などの設備機器や、配管、接着剤など)については、予期せぬ納期変動が生じるケースがあり、どのメーカーで家を建てるとしても、今の業界共通の課題となっています。
合わせて読みたい!ナフサショックの影響はこちらから。
一条工務店への影響|「工場生産」というモデルの強みと限界

一条工務店の家づくりは、フィリピンの自社グループ工場で部材の多くを製造する「工業化住宅方式」が特徴です。普段は、品質の均一化とコスト抑制という大きな強みとなるこの仕組みですが、ナフサショックによる物流危機の環境下では、少し違った側面も見えてきます。
一条工務店の内製化の強みと弱み
- 専用設計という「構造」: 一条工務店の家づくりは、すべての部材が一条専用に設計・製造されています。これは品質管理の面では大きな利点ですが、資材が不足した際、一般的に流通している部材にすぐ切り替えるといった柔軟な対応が、仕組み上とりづらい一面があります。
- 物流ルートの集中: 世界的な物流の混乱が生じると、特定ルートに依存していることが「届かない」という状況を招く要因になる可能性があります。
こうした8割の内製化体制は、平時の住宅供給において他社の追随を許さない圧倒的な優位性をもたらしてきました。しかし、ナフサ供給の停滞が懸念される現在の世界情勢下では、その強みであるはずの内製化モデルであっても、物流網や原材料調達の面で、安定供給を維持するためにこれまで以上の調整が必要な局面があるかもしれません。
特に、断熱材(ウレタン・ポリスチレン系)や樹脂サッシ、防水材といった部材は、いずれもナフサを原料とする石油化学製品です。こうした部材の調達環境が世界的に不安定化することで、これまでの生産体制を維持するうえで、メーカー各社とも非常に難しい判断を迫られているのが実情と言えそうです。
外部調達品を巡るサプライチェーンの限界
さらに考慮すべきなのは、工場生産モデルであっても、家を完成させるためにはTOTOやLIXILといった住宅設備メーカーからの供給が不可欠であるという点です。一条工務店から公表されている情報によれば、防水材や配管材などの資材入荷に遅れが出始めているだけでなく、今後はトイレや洗面化粧台といった衛生設備機器、さらには接着剤にいたるまで、納品遅延が広がる可能性が示唆されています。
つまり、一条工務店の「内製化」という強みが機能していたとしても、住宅そのものを完成させるためのこれら外部調達品が滞れば、全体の引き渡しスケジュールに影響が出ることは避けられません。自社で製造できる範囲と、設備機器のように外部に依存せざるを得ない範囲。今、現場では内製・外部調達の双方で発生する供給不安に対し、メーカー側が全力を挙げて調整を続けているというのが、現場から見える偽らざる実情のようです。
「どこを選べば絶対安全」と言い切れるメーカーはない

現在の住宅建材市場において、特定のメーカーだけが影響を受けないという状況は考えにくいのが実情です。どのハウスメーカーであっても、それぞれ異なる形での「調整」を余儀なくされています。
ナフサショックに伴う住宅メーカーの影響
- 大手ハウスメーカー: 全国規模の供給網があるため、ある地域で資材が止まっても別のルートを確保するなどの「広域的な調整」が強みです。しかし、規模が大きいからこそ、一度部材の供給に不備が生じると影響範囲も広くなりやすく、設備機器の納期変動にはやはり翻弄されがちです。
- 地域の工務店: 施主様との距離が近く、現場判断で柔軟な対応をしてくれるのが最大の魅力です。一方で、メーカーからの資材供給が絞られた際、大手と比較すると優先順位が後回しにされてしまうのではないか、という不安はどうしてもつきまといます。
どのメーカーを選んだとしても、今の不安定な物流環境と「リスクを共有する」という覚悟で向き合う必要があります。大切なのはメーカーの良し悪しを比較することよりも、担当者と「今の状況をどう乗り越えるか」を一緒に考えられる関係性を築けるかどうか、という点にあるのではないでしょうか。
予算と納期を守り、家づくりを前進させるための「4つの防衛策」

混乱の中で着実に家づくりを進めるために、今の現場の状況を踏まえた「守りの姿勢」を、より具体的にお伝えします。
「仕様の早期固定」でリスクを最小化する
現在の物流環境下では、契約後に図面や仕様を変更することは、現場を大きく停滞させる最大の要因になります。部材の確保が難しい今、あれもこれもと悩む時間を短縮し、早い段階で仕様を確定させることは、現場スタッフにとっても非常に助かる動きです。納得いくまで話し合った上で、迷わず決断を下すことが、結果的に着工への一番の近道になるはずです。
補助金(みらいエコ住宅支援事業)を確実に確保する
高性能住宅を建てるうえで、国による大型補助金は非常に大きなメリットです。メーカー側も「受注の要」として最優先で動いていますが、私たち施主側も「担当者とスケジュール感を握り合っておく」ことが重要です。契約時や打ち合わせの際に、「今回の計画は、補助金申請の期限内を考慮したスケジュールになっていますか?」と確認するだけで十分です。プロである担当者と連携し、ミスなく進めましょう。
担当者と「あえてリスクを共有する」
「完成はいつ?」と問い詰めるばかりでは、担当者も防衛的な回答しかできなくなってしまいます。逆に、「今、一番手配が難しくて困っている部材は何かありますか?もし納期が厳しいなら代替品の提案も検討します」と、こちらから歩み寄る姿勢を見せてみてください。メーカー側も人間ですから、こうした理解ある施主様に対しては、状況の優先度を上げて相談しやすくなるものです。
見積もりの「予備費(バッファ)」と「余裕のある資金計画」
今の家づくりにおいて、最も避けるべきなのは「ギリギリの資金計画」です。現在の住宅市場は、ナフサショックによる建材の価格高騰、円安、物流費の上昇といった構造的な要因が重なり、建築費の「高止まり」が続いています。
- 見積もりには必ず「5〜10%の予備費」を: 契約時の見積もりはあくまで「その時点の価格」です。着工までに数ヶ月の期間が空く場合、途中で建材価格が改定されたり、資材不足でやむなく代替品へ変更し、差額が発生したりすることも珍しくありません。予算をギリギリまで切り詰めるのではなく、見積もり総額に対して少なくとも5〜10%程度の「予備費」を最初から計上しておくと安心です。この余裕があるだけで、突発的な価格変更にも冷静に対処でき、妥協のない家づくりを貫けます。
- 「金利上昇」を見越したシミュレーションを:変動金利・固定金利ともに上昇の圧力が続いており、借入額を増やすことは、そのまま将来の返済負担の増加に直結します。建築費の上昇により借入額を増やす必要がある場合は、単に「借りられる額」を基準にするのではなく、「金利が今後1〜2%上昇したとしても、生活水準を落とさずに返済し続けられるか」という厳しい基準で資金計画を立てる必要があります。
- 「待てば下がる」という期待を捨てる: 残念ながら、現在の建築費上昇は一過性のものではなく、人件費や物流網の再構築を含めた長期的なトレンドです。「もう少し待てば価格が落ち着くかも」と考えて計画を先送りにしても、結果的に金利上昇やさらなる建材高騰という「二重苦」に直面するリスクが指摘されています。
総括:「一条工務店はナフサショックに負けない」の真実|納期・価格リスクと施主が今すべき防衛策
メーカーから届く工期延長の可能性に関する案内は、施主様にとっては本当に不安なものです。しかし、現場の営業担当者や職人さんたちも、物流の混乱の中で部材確保に奔走し、施主様の夢を守ろうと必死に戦っています。
「ナフサショックに負けない」というスローガンや広告を頼りにしたくなる気持ちは理解できますが、私たち施主側は「万が一の遅延も起こりうる」という心構えを忘れずにいましょう。メーカーの都合に振り回されるのではなく、ご自身のライフプランや予算を最優先に軸を置き、時にはメーカーと肩を並べて問題を一つずつクリアしていく。そうした「対等で協力的な関係」を築くことこそが、この荒波を乗り越え、結果的に後悔のない家づくりを叶える一番の道ではないでしょうか。
※本記事は2026年6月時点の公開情報と業界動向に基づき、建設業の現場視点で整理したものです。具体的な納期や価格については、必ずご契約先の担当者へ最新の状況をご確認ください。
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