作業員名簿の健康保険番号下4桁は不要？最新ルールとマイナンバー統合後の確認方法を解説！

建設業界における作業員名簿の作成は、労働者の安全管理や適切な労務管理を行う上で重要な役割を果たしています。特に、社会保険の加入状況を正確に把握するために、作業員名簿には各種情報の記載が求められます。しかし、近年の法改正により、健康保険番号の下4桁の記載が不要となりました。本記事では、作業員名簿の概要や記載項目、そして健康保険番号の下4桁の記載が不要となった背景について詳しく解説します。

作業員名簿に記載する健康保険番号について

作業員名簿とは

作業員名簿とは、建設現場で働く作業員の基本情報や資格、社会保険の加入状況などをまとめた書類で、作業員とプロジェクトの安全性を確保するために必要なものです。2020年、建設業法施行規則および施工技術検定規則の一部を改正する省令が施行されたことにより、施工体制台帳の一部として作業員名簿の作成が義務化されました。 

作業員名簿に記載しなければならない事項は、国土交通省令第六十九号で決められています。

（施工体制台帳の記載事項等）
第十四条の二法第二十四条の八第一項の国土交通省令で定める事項は次のとおりとする。

チ　建設工事に従事する者に関する次に掲げる事項（建設工事に従（新設）事する者が希望しない場合においては、⑹に掲げるものを除く。⑴）
⑴氏名、生年月日及び年齢
⑵職種
⑶健康保険法又は国民健康保険法（昭和三十三年法律第百九十二号）による医療保険、国民年金法（昭和三十四年法律第百四十一号）又は厚生年金保険法による年金及び雇用保険法による雇用保険（第四号チ⑶において「社会保険」という。）の加入等の状況
⑷中小企業退職金共済法（昭和三十四年法律第百六十号）第二条第七項に規定する被共済者に該当する者（第四号チ⑷において単に「被共済者」という。）であるか否かの別
⑸安全衛生に関する教育を受けているときは、その内容
⑹建設工事に係る知識及び技術又は技能に関する資格

引用：国土交通省令第六十九号

このように、作業員名簿には社会保険（医療保険・年金・雇用保険）への加入状況を明示する必要があります。では、作業員名簿に記載すべき社会保険の情報は、どこまで求められているのでしょうか？

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作業員名簿における健康保険番号は不要？記載の必要性

もともと建設業界では、社会保険に未加入の業者が多く、労働者が適切な医療や年金の保障を受けられない問題が頻発していました。社会保険に未加入の企業はコストを抑えられるため、適正に保険料を負担している企業との間で不公平が生じるという矛盾も指摘され、建設業の人材確保にも悪影響を及ぼしていました。

こうした問題を解消し社会保険の適正な加入を促進するために、作業員名簿には社会保険の加入状況を確認できる項目が設けられたとう背景があります。これにより、建設現場で働くすべての作業員が適正な保険制度のもとで働ける環境の整備が進められるようになりました。

一方で、作業員名簿の健康保険欄には、かつて被保険者番号の下4桁を記載することが一般的でしたが、個人情報の保護を強化するため、2020年10月1日の法改正により、健康保険の被保険者番号や記号の告知が制限され、作業員名簿への記載は不要となりました。

それに伴い、安全書類で健康保険証のコピーが求められる場合も、記号・番号・保険者番号・QRコードを黒く塗りつぶし、見えない状態で提出する必要があるので、注意してください。

作業員名簿に記載する番号はどこ？番号下4桁でわかること個人情報とは

健康保険証には主に「記号」「番号」「保険者番号」の3つの情報が記載されています。現在は記載不要ですが、元々作業員名簿に記載していた社会保険番号の下4桁とは、健康保険証の「番号」のことです。

それでは、健康保険証に記載されている記号や番号は、それぞれ何を意味しているのか？番号を記載すると個人情報がバレてしまうのか？整理していきます。

記号

「記号」は、保険者（企業や自治体など）を示す番号で、「事業所整理記号」とも呼ばれます。社会保険（協会けんぽや健康保険組合）では、勤務先の企業や団体ごとに異なる記号が付与されます。一方、国民健康保険では自治体ごとに異なる記号が割り振られています。

番号

「番号」は、被保険者を識別するための整理番号です。同じ事業所や自治体に属する被保険者ごとに付与され、扶養家族がいる場合は主たる被保険者と同じ番号が割り当てられます。

作業員名簿に記入していた「社会保険番号の下4桁」は、この「番号」の下4桁を指していました。1と記載されている場合は「0001」、21と記載されている場合は「0021」といった塩梅で記入していました。

上述の通り、同じ番号が重複するケースもあり、この番号だけで完全に個人を特定することはできません。とはいえ、個人情報保護の観点から、作業員名簿への記載は不要になっております。

保険者番号

「保険者番号」は、加入している健康保険の運営主体（保険者）を示す番号で、全国統一の体系で付与されています。最初の2桁は「法別番号」と呼ばれ、どのような医療保険制度なのかを示しています。例えば、協会けんぽは「01」、国家公務員共済組合は「31」などです。

番号	保険名	職業例
01	全国健康保険協会（協会けんぽ）	中小企業の社員
02	船員保険	船員
06	組合管掌健康保険	大企業の社員
31	国家公務員共済組合	国家公務員
32	地方公務員共済組合	地方公務員
33	警察共済組合	警察職員
34	公立学校共済組合／日本私立学校振興・共済事業団	教職員
39	後期高齢者医療制度	後期高齢者

マイナンバー統合後、健康保険証の下4桁ってどこで確認する？　

作業員名簿への健康保険証番号の記載は不要となりましたが、マイナンバーカードと健康保険証が統合されたことで、これらの番号をどこで確認すればよいか戸惑われる方もいらっしゃいます。以下に、マイナンバーカードと紐づけられた保険情報の確認方法をご案内いたします。

総括：作業員名簿の健康保険番号下4桁は不要？最新ルールとマイナンバー統合後の確認方法を解説！

作業員名簿は、建設現場における労務管理や安全管理を適切に行うための重要な書類です。法改正により、健康保険の被保険者番号の下4桁の記載は不要となりました。作業員名簿を作成・管理する際には、最新の法令やガイドラインを確認し、個人情報の適切な取り扱いに努めることが重要です。

• 作業員名簿は、建設現場で働く作業員の情報をまとめた重要な書類であり、2020年10月から作成が義務化
• 法改正により、健康保険の被保険者番号の下4桁の記載は不要
• マイナンバー統合後の健康保険情報は「マイナポータル」から確認