「建設業の事務って、実際どうなの?」
そんな疑問を抱えている方に向けて、この記事では建設業界ならではの“事務職あるある”を、中小建設会社で働く視点からご紹介します。
求人を見て興味を持った方はもちろん、すでに働いていて「他の人も同じように感じてるのかな?」「この業界、やっぱりちょっと独特だよね」と共感を求めて検索された方にも、少し気がラクになるような内容をお届けできればと思っています。
「やめとけ」と言われがちな建設業の事務ですが、クセが強い部分もありつつ、慣れてしまえば案外なんとかなることも多いもの。中には思わず笑ってしまうような日常もあります。
これから応募を検討している方にとっては現場のリアルを知る参考に、今まさに働いている方には「わかるわかる!」と気晴らしになるような、そんな記事になれば嬉しいです。
記事のポイント
- 建設業事務あるある
- 建設業事務はやめとけって言われるけど本当?
- いいところも紹介
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次
建設業事務あるある10選

- 男性が多くて雑。でも、基本的に優しくしてもらえる。
- 安全書類の提出地獄
- 月末の請求処理は修羅場。発注と請求がごちゃごちゃに。
- 職人さんが突然やってくる
- 冷房が効きすぎて極寒になる夏
- 担当者が現場に入ると連絡がつかない
- 年配の人が多く、昭和気質な空気感
- パソコン(IT機器)が苦手な上司に振り回される
- 土木・建築用語に最初はちんぷんかんぷん
- なぜか「女の仕事」と決めつけられがち
①男性が多くて雑。でも、基本的に優しくしてもらえる。
建設業界は圧倒的に男性が多く、事務所にいても一人親方さん、取引先の方、元請所長方など周囲はほぼほぼ男性です。書類の扱いが雑だったり、言葉づかいが乱暴に感じたりする場面もありますが、重たい荷物を運んでくれたり、「無理しないでね」と気遣ってくれる場面もあり、雑なだけじゃない優しいギャップに救われることも。
最初は驚いても、慣れてくるととても楽しく頼りになります。

ある程度スルースキルをつけると良いです。
②安全書類の提出地獄
建設業の事務業務の中でも、とくに大きな負担となるのが「安全書類」の対応です。
安全書類とは、作業員名簿や施工体制台帳など、現場の安全管理や法令遵守のために工事毎に提出が求められる書類一式のことを指します。
これらを事務員が作成する場合もあり、最初は戸惑うこともあるでしょう。提出方法も「エクセル」だったり、「グリーンサイト」「ビルディ」「グリーンファイル」などのWEBシステムだったりと様々です。元請企業によって提出形式や内容のルールも異なるため、会社ごとの異なる対応が必要です。
作業員の追加や現場の変更があるたびに再提出が必要になることも多く、精神的にも疲弊します。
特に大手ゼネコンの現場では、この安全書類の提出頻度やチェックも厳しいため、初めて担当した際には「めんどくさい」と戸惑う方も多いかもしれません。
こんな感じの書類を作ります。
③月末の請求処理は修羅場。発注と請求がごちゃごちゃに。
建設業の事務は、発注・納品・請求の流れが複雑だと感じる方も少なくありません。
これは建設業特有の下請構造によるところが大きく、1つの工事に対して複数の下請企業が関わるため、やり取りが煩雑になりやすい傾向があります。
また、材料の仕入れ先も多岐にわたり、最初は発注先や請求元の管理に戸惑うこともあるでしょう。
さらに、建設業ならではの「出来高計算(工事の進捗に応じて請求する方法)」など、業界特有の仕組みを理解する必要もあります。最初は覚えることが多いと感じるかもしれませんが、実務を通じて少しずつ身についていくものです。
加えて、建設業に限らず最近はインボイス制度や電子帳簿保存法といった法改正の影響で、事務作業全体が増加しているのが現状です。正確さと効率の両立が求められる、変化の多い時代と言えるかもしれません。
④職人さんが突然やってくる
建設業の事務所には、職人さんや協力会社の方が突然来社されることがよくあります。
「ついでに寄った」「これだけ届けに来た」と、事前の連絡なくいらっしゃることも多いため、対応中や手が離せないタイミングだと内心ドキッとします。
来社対応はもちろん大切な業務の一つですが、書類作成や請求処理などの集中作業中に訪問が重なると、どうしても作業が中断され、リズムが崩れてしまうこともあります。最近では、協力会社の一人親方さんが、グリーンサイト等のWEBシステムが分からない!と寺子屋状態で教えることもあります。
とはいえ、直接顔を合わせてやりとりできることで、コミュニケーションがスムーズになるメリットもあります。



とにかくフランクな人が多いので、それを楽しめるかどうかも重要です。前職のIT会社とは大違いw
⑤冷房が効きすぎて極寒になる夏。


外では猛暑でも、事務所の中は冷蔵庫。
現場作業で汗だくになって帰ってくる職人さんや担当者に合わせて、冷房は常に強め設定。
その結果、デスクで座り仕事をしている事務員だけがひたすら寒さに耐えることになる場合が多いです。
「夏なのにひざ掛けが手放せない」「指先が冷えてタイピングしづらい」なんて状況は建設業事務の“夏あるある”ではないでしょうか。とくに一人事務の場合は空調の調整を頼みにくく、外気との温度差で体調を崩さないよう注意が必要です。
⑥担当者が現場に入ると連絡がつかない
事務所にかかってくる電話のほとんどは、「○○さん、いらっしゃいますか?」という問い合わせ。
しかし、現場担当者は日中ずっと現場に出ていることも多く、「今、現場に入っていて連絡がつきません」と答えるのが日常です。
急ぎの伝言や変更依頼などがあっても、即時に伝えられないことに焦ることも。
事務所が“取り次ぎ係”として機能している側面もあり、丁寧な対応力と気配りが求められる場面です。
営業電話に困っている方はコチラの記事も!
⑦年配の人が多く、昭和気質な空気感
建設業界全体では、55歳以上の就業者が全体の約35.9%、29歳以下はわずか11.7%と、深刻な高齢化が進んでおり、次世代への技術承継が課題となっています。
(※参考:国土交通省 北陸地方整備局「建設業における人材確保に向けた取り組みについて」)
中小の建設会社では特にその傾向が顕著で、いわゆる“昭和気質”を感じる場面も少なくありません。
所謂“THEパワハラ”のような威圧的な雰囲気は少ないものの、ストレートな物言いや、あけすけなコミュニケーションが多く、人によっては「言い方がきつい」「少しデリカシーに欠ける」と感じることもあるかもしれません。
また、「昔はこうだった」「今のやり方は甘い」といった、今ではタブーとされがちな昔ながらの価値観や考え方が、職場内に残っていることもあります。
さらに、プライベートな話題を気軽に尋ねられることもありますが、多くの場合、それは悪気があるわけではなく、親しみや信頼の気持ちからくるコミュニケーションとして行われているようです。
こうした方々は、長年現場を支えてきた経験豊富な存在ばかり。
信頼関係が築ければ、とても頼りになるだけでなく、人間味あふれる温かさを感じられる場面も多くあるのが、この業界ならではの魅力です。



こういった関わり方が得意な人と苦手な人がいるので、
難しいですね。
⑧パソコン(IT機器)が苦手な上司に振り回される


「エクセルが開かない」「メールが送れない」から始まり、様々なデジタルツールの相談役兼修理業者として扱われることがほとんどです。若いからわかるでしょ?といった理不尽な理由で頼まれることもしばしば。
デジタルツールの活用が進む中でも、年配の上司や現場の方々はアナログ派が多く、パソコンの困ったを事務員に一任するケースは珍しくありません。すべてのエラー対応に即座に対応できるはずもなく、結局調べて教えるといった場面も。こうした状況に対応していくうちに、自然とExcelやPDF編集スキルが鍛えられるという側面もあります。
パソコンやIT機器が苦手な上司によく聞かれること
- エクセルが開かない
- メールが見れない
- ローマ字が全部大文字になる
- スクリーンショットってどうやる?
- 印刷が白黒になる
- インターネットがつながらない
- PDFって編集できる?
- 印刷がずれる
- アップロードって何?
- なんか急に変になった



冗談でなくコレ。



たまにggrksと言ってしまいそうになるのを堪える。
⑨土木・建築用語に最初はちんぷんかんぷん
「出来高って?」「工事台帳って?」
建設業界では、他の業界ではあまり耳にしない専門用語が数多く登場します。
最初のうちは、書類の内容も現場での会話もわからず、ひとつひとつ調べながら覚えていくことになります。
とはいえ、日々現場の担当者や職人さんとやり取りをしていく中で、自然と用語に慣れていきます。
いつの間にか自分の口からも業界用語が出ていて、「あれ、ちゃんと使いこなしてるかも」と気づく瞬間は、ちょっと誇らしいものです。
また、経理業務においても、建設業特有の計算方法や管理の仕組みが使われることがあります。
建設業経理士などの資格勉強をしておくと、理解がスムーズになり、業務にも自信を持って取り組めるようになるでしょう。
経理士については、こちらで詳しく解説しています!
⑩なぜか「女の仕事」と決めつけられがち
建設業界では、事務職に対して「女性がやる仕事」という固定観念が、いまだに根強く残っている場合があります。
来客対応やお茶出しを当然のように任されたり、「やっぱり女性は気が利くね」といった何気ない一言に、古い価値観を感じてモヤモヤすることもあるかもしれません。
一般事務として採用された以上、ある程度の範囲は業務の一環と割り切る必要もありますが、そうした雰囲気に戸惑う方も少なくないでしょう。
もちろん、すべての会社がそうというわけではありませんが、【建設会社 事務 女】や【ゼネコン 事務 女】といった検索がされている背景には、こうした現実があるのも事実です。
働きやすさは、職場の雰囲気や人間関係によって大きく変わるため、事前の情報収集や見極めも大切なポイントです。
建設業事務員の仕事について


- やめとけって言われる理由もあるけれど…
- グリーンサイトとは?大手ゼネコン中心に普及が進む業界標準ツール
- グリーンファイルとグリーンサイトの違いまとめ
- 協力会社は、無料のグリーンファイル(Greenfile.work)が良い?実際に使ってみた感想
やめとけって言われる理由もあるけれど…
「建設業事務はやめとけ」と言われることがあるのは、決して根拠がないわけではありません。
たしかに、他業界の事務と比べて“クセのある業務”や“古い慣習”が多く、慣れるまでに戸惑う方も多いのが事実です。
例えば、安全書類の煩雑さやアナログなやり取り、そして人間関係の難しさ等、「苦手」と感じる人も多いでしょう。また、少人数体制の会社では一人で複数の業務をこなすことも多く、仕事量と責任のバランスに悩む場面もあるかもしれません。
とはいえ、会社や上司、周囲の環境によって感じ方は大きく異なります。
“やめとけ”という声の裏側には、相性や立場によるギャップが隠れていることがほとんどです。
向き不向きが分かれやすい仕事だからこそ、実際の仕事内容や環境を知ってから判断することが大切です。
未経験でもできる?資格は必要?
建設業の事務職は、未経験からでも挑戦しやすい職種です。
実際、求人情報を見ても「未経験歓迎」「異業種からの転職者活躍中」という文言をよく見かけます。
とはいえ、業界特有の用語や書類の種類、安全書類システムなど、最初は慣れが必要な要素も多くあります。
資格は必須ではありませんが、あれば役立つものとしては「日商簿記」「建設業経理士」「MOS(Excel)」などが挙げられます。
また、真面目にコツコツ取り組む姿勢や、現場とのやりとりにおけるコミュニケーション能力が重視される職場も多く、資格以上に“人柄”が活きる仕事ともいえるでしょう。
「業界未経験だけど興味がある」という方にとっても、十分に挑戦できる職種です。
建設業の事務員に興味がある方は、こちらの記事もぜひお読みください。
リクナビNEXT
- 公開求人数が多い:公開求人数が多いので出会える確率が高い。
- マイペースな転職活動:エージェント(担当者)がつかないので、自分のペースで転職活動したい人にオススメ。
総括:【やめとけって本当?】建設業事務あるある10選|リアルな現場の実態とは
建設業の事務は、“きつい”“クセが強い”というイメージを持たれることもありますが、
実際に働いてみると「確かに大変だけど、なんだかんだ楽しい」という声も多く聞かれます。
今回ご紹介した“あるある”に共感できた方は、もしかすると建設業事務に向いているタイプかもしれません。
きちんと段取りを整えて動くのが得意だったり、人とのやり取りにストレスを感じにくい方には、ぴったりの仕事になる可能性もあります。
また、会社によって環境や働き方は大きく異なるため、事前に情報収集をして自分に合った職場を選ぶことが、長く続けるポイントです。
「やめとけ」の裏にあるリアルを知った上で、納得のいく一歩が踏み出せますように。
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