【画像付き】一人親方の請求書は手書きでOK?正しい書き方を実例で解説

建設業で一人親方として働いていると、現場だけでなく請求書の作成も自分でこなさなければなりません。毎月のこととはいえ、「これで合っているのかな?」「手書きでも大丈夫?」「インボイスの影響ってあるの?」と、意外と迷う場面が多いのではないでしょうか。
特に最近は、制度の変更や元請けによるフォーマット指定など、請求書まわりのルールも複雑になりつつあります。
中には、「ネットで調べても建設業向けの例が少ない」と感じている方も多いはずです。
この記事では、一人親方が安心して使える請求書の書き方を、手書きに焦点を当ててわかりやすく解説します。
さらに、毎月の請求業務に追われないための“時間を生み出す工夫”についても紹介します。
この記事を読み終えるころには、「もう迷わず書ける!」と感じてもらえるはずです。
記事のポイント
- 請求書って手書きで書いて大丈夫?
- インボイスとの関係は?
- 一人親方の請求書は手書きが主流か
- 請求書の書き方・注意点の解説
- 請求書のストレスを無くすために
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・HP作成・IT土方まで何でもやっています。
小学生二児の母。事務作業が少しでも楽になる情報を発信しながら、事務代行サポートも行っています。
目次
一人親方の手書き請求書の書き方完全ガイド|見本付きでわかりやすく解説

- 一人親方の請求書は手書きでOK?知っておきたい最新ルール
- 請求書に必要な基本項目とは
- 手書き請求書の書き方&建設業での注意点を徹底解説
- こんな書き方はNG!手書き請求書でよくあるミス
- 請求書作成をラクにする方法【テンプレ・アプリ・外注】
- 手書きの請求書づくりがストレスなら、無理せず“任せる”という選択も
一人親方の請求書は手書きでOK?知っておきたい最新ルール

結論から言えば、請求書は今でも手書きで問題ありません。
建設業の中には紙のやり取りを続けている現場もあり、「パソコンが苦手だから手書きで済ませたい」という一人親方も多いでしょう。法的には印刷と手書きに違いはなく、内容さえ正しければ正式な請求書として認められます。
ただし、2023年のインボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入により、記載内容に関するルールは以前より厳しくなりました。登録番号や税率、取引内容など、必要な項目が抜けていると経理処理が通らず、再提出を求められるケースも増えています。手書きの場合は、こうした細かい要素の“書き忘れ”が起きやすいため注意が必要です。

一方で、現場の実態としてはすでに
「手書きではない請求書」が主流です。
現場の事務をしている実感としては、現在は約9割がExcelやWordなどのテンプレートで作成したデータを印刷またはPDF化して提出しており、完全な手書き請求書はごく少数。また、請求書を郵送せずにメール添付やシステム上でやり取りするケースも全体の3割ほどまで増えてきているように感じます。今後はこうした電子提出がより一般的になるでしょう。
さらに、電子帳簿保存法の改正により、控えをデータで保管することも推奨されています。紙だけだと紛失や劣化のリスクがあるため、スマホで撮影してPDF化したり、クラウド保存しておくのが安心です。
つまり、「手書き=NG」ではありませんが、手書きが主流ではなくなっているのが現状です。
正しいルールに沿って書けること、そして今後のデジタル化にも対応できるよう備えておくこと――この2点が、これからの一人親方に求められる請求書スキルと言えるでしょう。
請求書に必要な基本項目とは


請求書に書くべき内容は、どの業種でもおおむね共通しています。
ここでは、一人親方が最低限押さえておきたい基本項目を紹介します。
請求書に必ず入れる6つの基本項目
- 請求日
- 請求先名(元請企業名・担当者名)
- 自社情報(屋号・住所・電話番号・インボイス登録番号)
- 取引内容(現場名・工事内容・作業期間など)
- 請求金額(税抜・消費税額・税込合計の明記)
- 振込先口座情報(銀行名・支店名・口座番号・名義・支払期日)
これらをすべて記載すれば、形式上の不備はなく、元請企業の経理処理にも対応できます。
また、インボイス登録番号がない場合は、取引先に「免税事業者」であることを伝えるなど、トラブルを避ける配慮も必要です。
手書き請求書の書き方&建設業での注意点を徹底解説
それでは、実際にどんな書き方をすれば良いのか、イメージをつかみたい方のために、一般的な手書き請求書のフォーマットを例にして、建設業の一人親方を想定した請求書を作成してみました。各項目の書き方を説明します。


請求書に記載する項目
- 請求日
- 請求書番号
- 宛名(取引先名)
- 自社情報
- 請求(工事)内容と金額
- 合計金額
- 税込合計金額
- 振込先情報
① 請求日
請求書を発行した日付を記載します。
一般的には、取引先との契約で「締め日」が決まっているので、その取り決めに沿って請求日を記入する必要があります。なお、⑤の工事内容の日付とは別のものですのでご注意ください。
多くの建設会社では月末締めや20日締めを採用しているため、請求日もその締め日に合わせるケースが多く見られます。
②請求書番号
請求書を管理するための番号です。取引先や自社での控えを整理しやすくする目的で付けます。
番号の付け方に決まりはありませんが、日付+連番(例:202504-001)のように一目で発行時期がわかる形式も便利です。
多くの建設会社では、見積書・発注書・請求書を照合するために請求番号を使用しており、取引先によっては「請求No.を必ず記入してください」と求められるケースもあります。自分の管理しやすいルールを決めておき、毎回統一した形式で記載するようにしましょう。
③宛名(取引先名)
請求書を送る相手である取引先の正式名称を記載します。
会社名は登記上の正式名称で書き、(株)などの略称は避け、「株式会社〇〇建設」と記載します。
また、支店や営業所単位で取引している場合は、「株式会社〇〇建設 ○○支店」のように支店名まで明記するとより丁寧です。
④自社情報
請求書を発行する自分(または自社)の情報を明記します。
屋号・氏名・住所・電話番号を基本とし、インボイス登録番号(Tから始まる13桁)がある場合は必ず記載しましょう。法人であれば代表者名を、個人事業主であれば個人名を記載する場合もあります。
請求書の右上または右下にまとめて記載すると、全体のレイアウトが整って見やすくなります。



インボイスに登録している方は、必ず登録番号を明記してください。
忘れると、取引先から電話がかかってきます。
請求(工事)内容と金額
どの現場・どの作業に対しての請求かを明確にします。
建設業では、「〇〇新築工事(2025年4月分) 内装ボード貼り・軽鉄下地組」といったように、現場名と作業内容をセットで書くのが基本です。
数量・単価の部分は、「人工×単価」や「日数×単価」で記載するケースが多く、作業の内容や契約形態に応じて表記を変えるのが一般的です。
- 人工×単価:3人工 × 20,000円 = 60,000円
- 日数×単価:5日 × 25,000円 = 125,000円
また、取引先との取り決めによっては「一式」でまとめて記載することもあります。本来は作業ごとに単価を分けて記載する方が望ましいですが、見積書などで内容が明示されており、取引先もそれを了承している場合は、請求書では「工事一式」としてまとめるケースも見られます。





実際、筆者の職場でも「見積書上では細かく明記し、
請求書では一式で合計金額のみ記載する」という運用をしていました。
材料費や諸経費が発生している場合は、「材料費」「交通費」「諸経費」などの項目として分けて記載しておくと親切です。フォーマットの金額(税抜・税込)と記載されている部分に、〇をつけるのも忘れずに。
⑥合計金額
すべての明細を合算した税抜金額を記載します。
建設業では基本的に消費税率10%が適用されますが、まれに軽減税率(8%)の対象となる取引が含まれる場合もあります。そのため、合計欄が2行に分かれているがフォーマットが一般的です。
税率・税抜金額・消費税額の3項目を明確に分けて記載することで、取引先の経理処理がスムーズになり、金額の誤解を防ぐことができます。
⑦税込合計金額
税抜金額に消費税を加えた最終的な請求金額を記載します。
金額の書き加えや改ざんを防ぐために、金額の前に「¥」マークを付けたり、末尾に横線(―)を引くといった工夫も有効です。消費税額も忘れずに記載しましょう。
⑧振込先情報
支払いを受ける銀行口座の情報を明記します。
銀行名・支店名・口座種別(普通/当座)・口座番号・名義を記載しましょう。名義は必ず屋号または本人名義と一致していることを確認してください。
また、契約書や発注書で支払期日が定められている場合が多いですが、請求書にも念のため「お支払期日」を明記しておくと親切です。取引先が支払いスケジュールを確認しやすくなり、振込漏れの防止にもつながります。
こんな書き方はNG!手書き請求書でよくあるミス


手書きの請求書は温かみがありますが、「読みづらい」「金額が曖昧」「記載漏れ」といった理由でトラブルにつながることも少なくありません。特に建設業では、元請や経理部門が厳密に照合するため、些細なミスでも再提出を求められることがあります。
手書き請求書でよくあるミス
- 金額の訂正・修正液の使用
→建設業で使われる請求書は複写式になっていることが多く、修正液や二重線での訂正は基本的にNGです。見た目の信頼性が下がるだけでなく、複写側にも跡が残ってしまい、経理処理で差し戻されることもあります。書き損じた場合は、新しい請求書に書き直すのが最も確実です。 - 税率や金額の区分があいまい
「税込」「税抜」「消費税額」を明確に分けていないと、支払額のズレや差し戻しの原因になります。税率ごとに小計を分け、税抜・消費税・合計(税込)を必ず明記しましょう。 - 振込先の記載漏れ・名義違い
振込先の書き忘れや名義の誤りは入金遅れの原因になります。特に屋号と個人名が異なる場合は注意が必要です。請求書ごとに口座名義の一致を確認しておきましょう。 - 社印・押印の押し忘れ
押印は法的に必須ではなく、現在は「脱ハンコ」の流れが広がっています。
しかし、取引先からの要望や偽造防止のために押印を求められるケースもあります。紙の請求書を提出する場合は、会社印(角印)を押しておくとより丁寧です。





押印する場合は、請求書右上の自社情報にかぶせる様に
会社印を押すのが一般的です。
請求書作成をラクにする方法【テンプレ・アプリ・外注】


請求書作成をラクにする方法
- 請求書テンプレートを活用する
- アプリ・クラウドで自動化する
- 事務代行・外注を活用する
請求書テンプレートを活用する
最近では、MicrosoftやCanvaなどでも無料のテンプレートが公開されており、ネット上で簡単にフォーマットを入手できる時代になりました。無料で使えるExcel・Wordのテンプレートを活用すれば、手書きよりも早く、見やすい請求書を作成できるのが魅力です。
ただし実際には、パソコン操作に苦手意識がある方も多く、Excelでの作成や印刷、PDF化・メール送信といった一連の作業が負担になるケースも少なくありません。特に、タイピングやレイアウト調整に慣れていない場合は、思った以上に時間がかかるのが現実です。
アプリ・クラウドで自動化する
請求書アプリを利用する方法もあります。これらのアプリを使えば、スマホ1台で発行から送信まで完結できるのが大きなメリットです。ただし、月額500〜1,000円程度の利用料がかかり、最終的には自分で金額や現場名などを入力する必要があります。
そのため、パソコン操作が苦手な方には便利ですが、「時間を節約したい」「入力自体を手放したい」人には不向きといえるでしょう。
事務代行・外注を活用する
テンプレートやアプリを使っても、結局は「入力の時間」を自分で確保しなければならないのが現実です。
そんなときに頼りになるのが、事務代行サービスです。近年は、月額制(サブスク)やオンライン秘書のように継続的にサポートしてくれるサービスも増えています。
とはいえ、実際には「今忙しいから、これだけやって!」というスポット依頼のニーズも多くあります。そんな場合は、請求書だけ・安全書類だけといった“部分外注”を活用するのがおすすめです。
最近では、LINEで依頼から納品まで完結できるサービスも登場しており、専任の事務員を雇うよりも手軽でコスパが良く、事務のプロに正確に処理してもらえるのが魅力です。
手書きの請求書づくりがストレスなら、無理せず“任せる”という選択も


手書きの請求書は、温かみがある反面、書く・直す・送るといった工程に想像以上の手間と時間がかかります。
特に現場仕事と並行して事務もこなす一人親方にとって、請求書づくりは“見えない残業”の代表格といえるでしょう。
最近では、請求書だけを外注できるサービスも増えており、LINEなどでやり取りしながら、フォーマットに沿って代行してもらうことが可能です。一度テンプレートを共有しておけば、次回からは内容を伝えるだけで発行まで完了。請求漏れや記載ミスの心配も減ります。
事務員を雇うほどではないけれど、夜な夜な請求書を書くのはもう疲れた――そんな方こそ、“部分的な外注”で時間を取り戻すタイミングかもしれません。



当サービスでも事務代行サービスを行っております。
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総括:【画像付き】一人親方の請求書は手書きでOK?正しい書き方を実例で解説
手書きの請求書は、今でも十分に通用します。大切なのは、「請求日・宛名・金額・振込先」などの基本項目を正確に記載することと、税率や金額区分を明確にして、相手に誤解を与えないようにすることです。
複写式の手書きでも、見やすく丁寧に書かれていれば問題ありません。ただ、現場で忙しい一人親方にとっては、事務作業が負担になる場面も多いでしょう。そんなときは、テンプレートやアプリ、外注サービスなど、“自分が続けやすい方法”を選ぶのがいちばんです。
請求書づくりは「正確さ」と「効率」が大切。現場での本業に集中できるように、少しずつ事務の仕組みを整えていきましょう。
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