【エクセル無料配布】建築工事の共通仮設費率に含まれるものは?何パーセントが目安?計算方法まで徹底解説

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建設業で見積書や内訳書を作成する際に登場する「共通仮設費」。よく見かけるけれど、「共通仮設費って具体的にどんな費用?」「何パーセントくらいが妥当なの?」「どこまでの項目が含まれているの?」と、疑問に感じたことはありませんか?

実は、共通仮設費・共通仮設費率は現場の規模や内容によって変動することもあり、正しく理解しておかないと、積算の精度や利益率にも影響が出る重要なポイントです。

本記事では、まず「共通仮設費とは何か?」という基本的なところからスタートし、共通仮設費率に含まれる内訳、パーセンテージの目安、計算式やエクセルでの算出例、さらに国交省の基準や土木工事との違いまで、現場で役立つ情報をわかりやすく解説していきます。
事務員たなか

「なんとなく」で済ませがちな共通仮設費率を、
この記事でしっかり押さえておきましょう。

記事のポイント
  • 共通仮設費とは
  • 共通仮設費率とは
  • 公共工事における共通仮設費の計算方法
  • 共通仮設費率をエクセルで計算するには
  • 民間工事の共通仮設費
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)


建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次

共通仮設費に含まれるのは何?およそ何パーセントか解説

  1. 共通仮設費とは?
  2. 共通仮設費率に含まれるものとは?現場で使われる具体例を解説
  3. 共通仮設費率は何パーセントが目安?

共通仮設費とは?

共通仮設費とは、工事現場全体で使用する仮設物や設備にかかる費用を指します。建築工事でも土木工事でも、作業そのものとは直接関係しないものの、工事を安全かつ円滑に進めるためには欠かせない準備的な費用です。

たとえば、現場全体を囲う仮囲いや、安全対策のための標識、作業員のための休憩所や仮設トイレなどが共通仮設費の対象になります。これらはすべての工種・業者が共通して利用するため、「共通」という名称がついています。

一方で、「直接仮設費」は、各専門工事ごとに必要な足場や型枠などにかかる費用です。共通仮設費と直接仮設費を混同しないことが大切です。

共通仮設費は、現場全体の運営に欠かせない共通設備や安全管理のための費用ですが、それを見積や積算で扱う際には「共通仮設費率」として直接工事費に対する比率で算出されることが一般的です。この“率”とは、「直接工事費の5%を共通仮設費として見込む」といったように、費用の目安として使われます。

共通仮設費率に含まれるものとは?現場で使われる具体例を解説

共通仮設費率に含まれる費用の内容は、工事の種類によって異なります。公共工事では、国土交通省の「共通費積算基準」により、「建築工事」と「設備工事(電気・機械・昇降機)」に分けて、どの項目が共通仮設費率に含まれるかが定められています

建築工事では仮囲いや仮設電気設備、安全掲示物などが含まれますが、電気設備工事では搬入通路の確保やケーブル支持材といった、工種特有の共通的設備が含まれる形になります。

建築工事の共通仮設費率に含む内容

スクロールできます
項目内容
準備費敷地整理(新営の場合)、道路占有のための準備及び現状復旧に要する費用、その他
の準備に要する費用
仮設建物費監理事務所(敷地内)、現場事務所(敷地内)、倉庫、下小屋、作業員施設等に要す
る費用
工事施設費場内通信設備等の工事用施設に要する費用
環境安全費安全標識、消火設備等の施設の設置、隣接物等の養生及び補償復旧に要する費用。
台風等災害に備えた災害防止対策に要する費用のうち一般的なものの費用
動力用水光熱費工事用電気設備及び工事用給排水設備に要する費用並びに工事用電気・水道料金等
屋外整理清掃費屋外・敷地周辺の跡片付け及びこれに伴う発生材処分並びに端材等の処分に要する
費用
機械器具費測量機器及び雑機械器具に要する費用
その他公共建築工事標準仕様書に基づく試験費、レディーミクストコンクリートの単位水量
試験費、特記仕様書にて定める試験のうち軽微な試験費、その他上記のいずれの項目
にも属さないもののうち軽微なものの費用
出典:国土交通省「公共建築工事共通費積算基準 令和7年改定」

電気設備工事、機械設備工事及び昇降機設備工事の共通仮設費率に含む内容

スクロールできます
項目内容
準備費その他の準備に要する費用
仮設建物費現場事務所(敷地内)、倉庫、下小屋、作業員施設等に要する費用
工事施設費場内通信設備等の工事用施設に要する費用
環境安全費安全標識、消火設備等の施設の設置に要する費用。台風等災害に備えた災害防止対
策に要する費用のうち一般的なものの費用
動力用水光熱費工事用電気設備及び工事用給排水設備に要する費用並びに工事用電気・水道料金等
屋外整理清掃費屋外・敷地周辺の跡片付け及びこれに伴う発生材処分並びに端材等の処分に要する
費用
機械器具費測量機器及び雑機械器具に要する費用
その他上記のいずれの項目にも属さないもののうち軽微なものの費用
出典:国土交通省「公共建築工事共通費積算基準 令和7年改定」
一方、民間工事ではこうした明確な分類や定義がない場合も多く、共通仮設費に含める項目は会社の内規や実績、発注者との協議によって柔軟に決められるのが一般的です。

そのため、見積や積算を行う際には、自社が公共工事を対象としているのか、それとも民間工事なのかを踏まえ、適切な積算根拠を把握することが重要です。

共通仮設費率は何パーセントが目安?

共通仮設費率は、「工事費全体に対してどの程度の共通仮設費を見込むか」を表す比率で、積算における重要な指標です。ただし、一律の数値が決まっているわけではなく、工事の種類や規模、発注者の条件によって異なるのが実情です。

一般的な建築工事では、共通仮設費率の目安として3~8%程度とされることが一般的です。仮囲いや事務所、仮設トイレなどの設置費用がそれにあたります。ただし、小規模工事では準備の手間に対して工事金額が小さいため、5~7%ほどの高めの設定になることもあります。一方、大規模工事ではスケールメリットが働くため、2~3%程度に抑えられるケースもあります。

また、公共工事では、国土交通省が定める「公共建築工事共通費積算基準(共通費基準)」に基づき、工事の種類や規模、工期などに応じて設定された「共通仮設費率」を用いて算定することが基本となっています。
ただし、これらの率に含まれない内容については、必要に応じて積み上げにより別途算定し、加算することとされています。

【国土交通省基準】公共建築工事における共通仮設費の計算方法

  1. 公共工事の共通仮設費・共通仮設費率の計算方法!定率法と積み上げ方式
  2. 直接工事費に対する比率(共通仮設費率)により算定する費用の計算方法とは
  3. ②共通仮設費率に含まれない内容について、積み上げにより算定する費用
  4. 共通仮設費率はエクセルで計算しよう!

公共工事の共通仮設費・共通仮設費率の計算方法!定率法と積み上げ方式

公共工事における共通仮設費は、「率計算(定率法)」と「積み上げ方式」の2つを組み合わせて算出するのが基本です。

まずは、共通仮設費率(Kr)を使って、直接工事費などの対象額に一定の率を掛けて金額を算出します。このKrは、工事種別や工期、規模(費用)などに応じて国土交通省の基準に従って計算されます。そして、この率に含まれない費用(揚重機械器具など)については、別途、積み上げて加算する方式です。

共通仮設費 = ①直接工事費に対する比率(共通仮設費率)により算定する費 + ②共通仮設費率に含まれない内容について、必要に応じ別途積み上げにより算定する費用

直接工事費に対する比率(共通仮設費率)により算定する費用の計算方法とは

共通仮設費の基本的な部分については、「直接工事費に対する比率(Kr)」を用いて算定します。この方法は、国土交通省が定める「公共建築工事共通費積算基準」に準拠したものであり、工事の種類・工期・工事費の規模をもとに、共通仮設費率を指数関数で求めるのが特徴です。
共通仮設費率の求め方
Kr=Exp(a + b × Loge P + c × Loge T)

Kr:共通仮設費率(小数点以下第三位を四捨五入して二位止めとする)
a,b,c:各工事の個別の定数
P:直接工事費(千円)
T:工期(ヶ月)
直接工事費と工期が分かれば、あとは定数なので共通仮設費率が求められるという塩梅です。
事務員たなか

Exp(指数関数)、Loge(自然対数)って何だっけ?と考えるとmajiで分からなくなるので、ここではこの公式を使うということを覚えて頂ければよいと思います。数学得意な人は分かるかも?(私はちんぷんかんぷん)

a・b・c(各工事の個別の定数)に入る数値は、工種によって変わり、国土交通省の「公共建築工事共通費積算基準」にて、定められています。

各工種の係数(a,b,c)

工種abc
建築新営3.346-0.2820.625
建築改修3.962-0.3150.531
電気設備新営3.086-0.2830.673
電気設備改修1.751-0.1190.393
機械設備新営2.173-0.1780.481
機械設備改修2.478-0.1730.383
昇降設備4.577-0.323
この係数を用いて、上記の「共通仮設費率の算出式」に当てはめることで、Kr(共通仮設費率)を求めることができます。なお、この共通仮設費率は、工種ごとの直接工事費の規模に応じて適用されますが、金額が一定の範囲を超える場合などには、基準の適用外とされ、共通仮設費を個別に設定できるケースもあります。このあたりの詳しい条件等は、国土交通省の「公共建築工事共通費積算基準」を参照してください。

共通仮設費率(Kr)を計算することが出来たらあとは簡単。共通仮設費は、直接工事の共通仮設費率をかけることで算出されます。
共通仮設費の求め方
共通仮設費 = 直接工事費 × 共通仮設費率
事務員たなか

それでは実際に値を入れて計算してみましょう!

例えば・・・
建築新営工事で、直接工事費:165,520,850円、工期:10.3か月の場合

Kr=Exp(3.346 - 0.282 × Loge(165,520.850/1000) + 0.625 × Loge(10.3))= 4.12 %
Krによる直接工事費算定 = 165,520,850 * 4.12% = 6,819,459円
事務員たなか

こんな感じで、直接工事費と工期が分かれば①直接工事費に対する比率(共通仮設費率)により算定する費は求められます。

②共通仮設費率に含まれない内容について、積み上げにより算定する費用

共通仮設費の算定では、まず「共通仮設費率(Kr)」を使って直接工事費に対する一定割合の費用を算出しますが、実際の工事ではそれだけではまかないきれないケースが多くあります。

そのため、共通仮設費率に含まれない仮設項目については、必要に応じて「積み上げ方式」で個別に費用を算出し、加算する形となります。公共工事では、積み上げ対象の費用は工種別に分けて計上することが求められており、積算根拠の明確化が重要です。
積み上げ対象となる代表的な仮設費用
  • 共通の揚重機器
  • 特殊な仮囲いや工事用構台
  • 監督員事務所の特別備品や現場宿舎の設置
  • 既存設備・什器の移動・保管・復旧費
  • 交通誘導員の配置費や台風など自然災害への予防仮設費
なお、積み上げ方式による費用の具体的な計算方法は、国土交通省の「公共建築工事共通費積算基準」や、各都道府県が定める積算基準に準拠して算出するのが基本です。

地方自治体によって細かな項目や単価が異なる場合があるため、実際の見積や積算の際には、該当する地域の基準を必ず確認するようにしましょう。
事務員たなか

①共通仮設費率による費用と、②積み上げ方式で算出した費用を合計すると、共通仮設費の総額となります。

共通仮設費率はエクセルで計算しよう!

上述した共通仮設費率の計算方法をご覧いただき、大まかな流れはご理解いただけたかと思います。
とはいえ、実際の算出には指数や自然対数などのやや複雑な関数を使うため、電卓や手計算はあまり適していません

そういった場合には、Excelを活用するのがおすすめです。エクセルなら関数を使って、共通仮設費率を正確かつスピーディーに算出することができます。

あらかじめ数式を設定しておけば、あとは「直接工事費」と「工期」を入力するだけ。自動で共通仮設費率が求められるため、積算作業の効率化にも大いに役立ちます。
共通仮設費率を求めるExcel関数
=ROUND(EXP( a + b * LN(直接工事費 / 1000)+ c * LN(工期)), 2)
a、b、c は工種ごとの係数です。上述した表を参照し、工事毎に代入してください。
事務員たなか

この数式を活用すれば、複雑な計算も安心して進められます。

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直接工事費と工期を入力するだけで、自動でKr(共通仮設費率)を算出できるエクセルシートを無料でご提供しています。
事務員たなか

よろしければ、ご活用ください。

民間工事における共通仮設費の算出方法とは?

民間工事では、公共工事のように国の積算基準が一律に適用されるわけではなく、発注者や施工会社の内規・過去実績などに基づいて柔軟に共通仮設費を算出するのが一般的です。

民間工事における共通仮設費の基本的な考え方

共通仮設費の内訳や内容自体は、公共工事と大きくは変わりません。仮囲いや共用設備、仮設電気・水道、現場事務所や安全対策などが対象となります。

ただし、算出方法に明確な基準は定められておらず、事業者や工事内容によって異なるのが一般的です。

民間工事における共通仮設費の算出には、以下のような特徴があります。
  • 定率で計上するケースが多い
    → 例:直接工事費の○%(5%〜10%程度)を一律で見込む
    → 過去の類似案件の実績率をもとに設定することが多い
  • 発注者から共通仮設費の上限率が指定される場合もある
  • 現場の条件に応じて、追加で個別費用(積み上げ)を計上することも
民間工事では「この通りに計算しなければならない」という明確なルールが存在しないため、見積精度の高さや説明資料のわかりやすさが重要になります。そのため、内訳や費用根拠を明示できるよう、Excelなどで共通仮設費の内訳をテンプレート化しておくと便利です。

総括:【エクセル無料配布】建築工事の共通仮設費率に含まれるものは?何パーセントが目安?計算方法まで徹底解説

共通仮設費率は、見積や積算を行ううえで欠かせない基本要素です。ただ「◯%を掛ければいい」と単純に片付けてしまうと、現場の実情と合わず、結果的に赤字を招いたり、発注者からの信頼を損なう可能性もあります。

この記事では、共通仮設費率の意味から始まり、内訳、計算方法、公共・民間・建築・土木の違いまで、幅広く解説してきました。特に定率法と積み上げ方式、それぞれの使いどころを理解しておくことで、より柔軟で実務的な見積が可能になります。

重要なのは、「現場に必要なものを過不足なく見積もる」こと。率だけに頼らず、必要な仮設費は積み上げてしっかり根拠を持たせる。これが、積算の信頼性を高め、利益確保にもつながります。

共通仮設費は、ただの間接費ではなく、“現場を支える土台”です。適切に理解し、正確に扱っていきましょう。

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