工具といえばアメリカやドイツが有名ですが、イギリス製の工具について考えたことはありますか?
実はイギリスには、伝統ある工具メーカーや精密性に優れた工具文化が根付いており、クラシックカーやヴィンテージ機械を扱う整備士の間では“通好みの逸品”として高く評価されています。
たとえば「モーターレンチ=イギリス」といった独特な呼び名があるのも、工具の世界の面白さのひとつ。この記事ではイギリス工具に触れながら、「カラス」や「モンキー」といった通称についても紹介します。日本ではあまり耳慣れない言葉も多いですが、その背景を知ることで、工具の奥深さをより楽しめるはずです。
イギリス工具の特徴や由来、有名メーカー、使い方の違いまでをわかりやすく解説しながら、アメリカや日本の工具との違いにも触れていきます。
記事のポイント
- イギリス工具の魅力
- モーターレンチがイギリスと呼ばれる理由
- イギリスの有名工具メーカー
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次
イギリス工具の魅力

- イギリス工具とは?由来やイギリスインチ工具の特徴を解説
- モーターレンチを「イギリス」と呼ぶ理由・由来!使い方と特徴も紹介
- パイレンとイギリス工具の違いとは?呼び方・用途・由来を整理
- イギリスの工具メーカーは何がすごい?代表ブランドの紹介
- イギリス工具はどこで買える?通販・店舗での購入方法まとめ
- イギリス工具と他国製の違いとは?アメリカ・日本との比較ポイント
イギリス工具とは?由来やイギリスインチ工具の特徴を解説
イギリス工具といえば、「伝統と精密さ」がキーワードになります。産業革命以降、イギリスでは工作機械や自動車産業が発展し、それに伴って高品質な工具も数多く生み出されてきました。現在でも、クラシックカーの整備や航空機の保守といった分野では、イギリス製工具の評価は根強いものがあります。
その背景には、独自の寸法規格である“イギリスインチ”の存在があります。イギリスでは長らくヤード・ポンド法が使われており、工具サイズもこの規格に準拠して作られてきました。そのため、日本のミリ規格やアメリカのインチ規格とは微妙に異なり、互換性がないこともあります。特に古い機械を扱う際には、この「イギリスインチ」対応の工具が今でも必要とされる場面があります。
また、工具の形状や呼び名にもクラシカルな味わいが残っており、“本物志向”の職人やマニアにとっては、それが魅力のひとつとなっています。次のセクションでは、具体的な工具の種類や使い方を詳しく見ていきましょう。
モーターレンチを「イギリス」と呼ぶ理由・由来!使い方と特徴も紹介

イギリス工具の中でも、ひときわ個性を放つのが「モーターレンチ」。
日本では「イギリスレンチ」という通称でも親しまれており、その名の通り、英国で古くから使われてきたレンチ工具の一種です。
モーターレンチ最大の特徴は、ウォームギアによって開口幅を自在に調整できる点。柄と平行に開閉する構造で、大きな六角形のナットや継手でもしっかりと挟み込めます。また、ギザギザの歯がなく、クロムメッキなど仕上げ面を傷つけにくい点も大きなメリット。水道工事や配管作業において、外観や機能を損なわずに作業できる道具として、プロからの信頼も厚い工具です。
ではなぜ「イギリスレンチ」と呼ばれるようになったのでしょうか?
明確な定義があるわけではありませんが、その背景にはイギリスが世界に先駆けて産業革命を起こした歴史が関係していると考えられます。18世紀後半から19世紀にかけて、蒸気機関や機械化が発展し、造船・鉄道・機械産業が急成長する中で、数多くの工具やねじ規格(BSW、BSFなど)が誕生しました。こうしたイギリス発の工業技術に対応した工具の一つが、モーターレンチだったのです。
つまり、「イギリスレンチ」という呼び名は、イギリスで使われていた工具スタイルやねじ規格に合わせたレンチという意味合いから、現場で自然と広まったものと推測されます。クラシックカーやヴィンテージバイクの整備においても、イギリス規格の工具が今なお必要とされる場面があり、モーターレンチはその代表格のひとつといえるでしょう。
なお、日本国内では、トップ工業やスーパーツールなどが高品質なモーターレンチを製造しており、現場でも安定した人気を誇っています。
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パイレンとイギリス工具の違いとは?呼び方・用途を整理

パイレンとは、「パイプレンチ」の略称で、主に丸い筒状のパイプ配管作業に使われる工具です。くわえる部分にはギザギザの歯(ジョウ)が付いており、鉄製や樹脂コートされたパイプに食い込んで、しっかりと固定しながら回せる構造になっています。上アゴはわずかに動くように作られており、力をかけると自然に噛み込む仕組みです。柄の部分は赤や緑に塗装されていることが多く、最近では軽量なアルミ製も登場しています。
一方、「イギリス」と呼ばれるのは、モーターレンチの通称です。こちらはナットや六角ボルトなど角形の継手を回すための工具で、くわえる部分は平らでギザギザがありません。対象物を傷つけにくく、しっかりと挟み込める設計になっています。表面は美しいクロムメッキ仕上げが一般的で、モンキーレンチでは対応できないような大きなナットにも使えるのが特徴です。ただし、強い力をかけると柄がたわむことがあるため、過度なトルクをかける際には注意が必要です。

どちらも配管工事によく利用されています。
工具名 | 通称 | 主な用途 | 特徴 |
パイプレンチ | パイレン | 丸い筒状のパイプ等に使用。 | ギザギザの歯でかみこむ |
モーターレンチ | イギリス | 角形のナット・排水トラップ等に使用。 | 平な口でしっかり固定 |
見た目が似ていても、構造も用途もまったく異なる工具です。作業内容に合った工具を選ぶことが、安全で確実な作業につながります。
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イギリスの工具メーカーは何がすごい?代表ブランドの紹介


イギリス製工具の魅力を語るうえで欠かせないのが、伝統と実用性を兼ね備えた優れたメーカーの存在です。ここでは、現地でも高く評価されている代表的な英国ブランドをご紹介します。
イギリスの代表工具メーカー
- Spear & Jackson(スピア&ジャクソン)
- Britool(ブリツール)
- King Dick(キングディック)
Spear & Jackson(スピア&ジャクソン)


Spear & Jackson(スピア&ジャクソン)は、1760年に製鋼の町シェフィールドで創業した、創業250年を超えるイギリスの老舗工具メーカーです。特にガーデンツールの分野で世界的に知られ、スコップやフォーク、剪定ばさみ、グローブなど、園芸作業に欠かせない道具を幅広く展開しています。
伝統的な製法と現代技術を融合させたものづくりに定評があり、「トラディショナルシリーズ」では、耐久性に優れたステンレスとハードウッドを組み合わせた美しい仕上がりが特徴です。その佇まいと使いやすさは、世界中のガーデナーを魅了しています。
また、DIYや大工道具の分野でも製品展開があり、工具全般においても“英国品質”として高く評価されています。
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Britool(ブリツール)


Britool(ブリツール)は、1919年にイギリスで創業された老舗工具ブランドで、精密機械や航空産業など、プロ用途に特化した工具群で知られています。特にラチェット、トルクレンチ、スパナなどは高い精度と使いやすさを兼ね備えており、仕上がりの美しさも特徴です。
現在はStanley Black & Deckerの傘下で「Britool by Expert」として展開され、プロ整備士からは「Britoolなら間違いない」と言われるほどの信頼を獲得しています。ウィット規格(Whitworth)対応のビンテージ工具は、クラシックカーやバイク整備に欠かせない存在で、刻印付きスパナセットは「非常に使い勝手が良い」と高く評価されています。
また、長年使用されても精度が維持されるという職人の声も多く、「購入後数十年経っても正確に使える」との実績から、実用性と信頼性を兼ね備えたブランドとして揺るぎない地位を築いています。
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King Dick(キングディック)


King Dickは、1856年にバーミンガムで創業したAbingdon社を源流とし、20世紀初頭にツールブランドとして名を上げました。ブルドッグロゴは、創業者が愛した闘犬が由来とされ、英国らしい質実剛健なデザインを象徴しています。現在もMade in UKにこだわり、ドロップフォージ製や高精度製造で卓越した耐久性を実現しています。
公式サイトによると、英国軍や自動車・バイク整備の現場に長く使用されてきた実績があり、現在のクラシックカーやヴィンテージバイク整備士にも根強い支持を受けています。品質保証や製品範囲の広さにおいても、プロフェッショナルが選ぶ“英国工具”の代表格であることは揺るぎません。
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イギリス工具はどこで買える?通販・店舗での購入方法まとめ


イギリス製の工具は、日本国内でも入手可能です。専門性の高さや独特のデザインに魅力を感じて、あえてイギリスメーカーの工具を選ぶ整備士やマニアもいます。
まず、最も手軽なのは通販サイトの活用です。Amazonや楽天市場でも、品数は限られますがイギリス製工具を購入することができます。ファクトリーギアやモノタロウ、ツールオフなどの国内専門店でも取り扱いがある場合がありますが、イギリス工具はややマイナーな存在のため、常時ラインナップされているとは限りません。
そのため、世界中のユーザーが利用するeBayやAliExpressといったグローバル通販サイトを活用する人も増えています。英語でのやり取りや輸入手続きが必要になる場合もありますが、レアな工具やビンテージ品が見つかる可能性もあるため、選択肢としては非常に魅力的です。
購入の際は、インチ規格とミリ規格の違いに注意が必要です。イギリスインチ工具は、日本の一般的な工具セットとサイズ互換がない場合があるため、使用目的や対象機器に応じて選ぶことが大切です。
イギリス工具と他国製の違いとは?アメリカ・日本との比較ポイント
イギリス工具の特徴をより深く理解するためには、アメリカや日本の工具との違いを知っておくと役立ちます。まず大きな違いとして挙げられるのが、使用されている規格です。
イギリスでは、長らくBS(British Standard)規格が使われており、ウィット規格(BSW)やBSF(細目ねじ)など、独自の「イギリスインチ」による寸法体系が存在します。これに対して、アメリカではSAE(ヤード・ポンド系)規格、日本ではミリメートルを基本としたJIS規格が一般的です。ねじサイズや工具の口幅が微妙に異なるため、整備対象によっては専用工具が必要になることもあります。
また、デザインやコンセプトの違いも見逃せません。アメリカ工具は「頑丈で無骨」、日本工具は「精密で扱いやすい」とされるのに対し、イギリス工具は“クラシックで硬派”な印象を持つものが多いのが特徴です。たとえばKing Dickのスパナは重厚感があり、所有感をくすぐる仕上がり。一方でBritoolは、航空産業でも使われるような高精度設計が魅力です。
見た目だけでなく、用途・規格・文化の違いを理解することで、自分に合った工具選びができるようになります。作業効率だけでなく、工具を持つ楽しさも広がるのが、イギリス工具の面白さといえるでしょう。
アメリカ工具について詳しくはコチラ!
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総括:クラシックでヴィンテージ感漂うイギリス工具の世界!モーターレンチ=“イギリス”と呼ばれる理由とは?
ギリス工具は、クラシックな風合いと機能美が融合した、まさに“使う楽しさ”を感じさせてくれる存在です。ウィットワース規格など独自のインチサイズ、重厚感のあるデザイン、そしてKing DickやBritoolといった歴史あるブランドが生み出す確かな品質は、日本製やアメリカ製とはまた異なる個性を放っています。
「イギリス」と呼ばれるモーターレンチのように、現場では独自の呼び名が使われることもあり、工具を深く知るほどにその背景や用途の違いが見えてきます。
クラシックカーやバイクの整備、ヴィンテージ機械のレストアなど、特定分野では今も現役で活躍するイギリス工具。その魅力は、単なる“道具”を超え、知るほどに惹かれる“相棒”としての存在感にあるのかもしれません。工具好きなら、一度は手に取ってほしい英国発の名品たちです。
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