安全書類の二大面倒な書類といえば「作業員名簿」と「再下請負通知書」。(※個人の感想です)
安全書類作成を任され始めた当初は、何のために使う書類なのか?何故こんなに何度も同じ情報を書かなければならないのか?と文句たらたらでした。
再下請負通知書とはなんぞや?といった方向けに、再下請負通知書について書き方を含めて解説していきたいと思います。
この記事を書いた人
事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
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目次
再下請負通知書とは
再下請負通知書とは、自社と下請負業者の契約内容を明らかにし、元請業者に報告する書類です。
下請負契約を締結した場合の公共工事、または工事を施工するために締結した下請負金額の総額が、4,500万円(建築一式工事の場合、7,000万円)以上となった時点で、作成・提出・保管が義務付けられています。
建設業の仕事は、様々な専門工事が組み合わさってはじめて完成されるため、重層下請構造になりやすい特性を持っています。このような特性を持つ建設業において、工事の適正な施工や安全を確保するためには、工事を行うすべての業者を適切に管理することが必要です。どのような業者が当該工事に関わっているのかを明確にする為に、この「再下請負通知書」がマストになってくるのです。
施工体制台帳と再下請負通知書の違い
再下請負通知書と似た様式で「施工体制台帳」という書類もあります。
書類の名前が違うのみで、記入する内容はほぼ変わらないので、自分はどちらに記入したらよいのか迷うこともありますよね。
これは誰が作成するかによって、明確に分けられています。
- 施工体制台帳:元請企業が作成
- 再下請負通知書:一次以下の下請負企業が作成
施工体制台帳は元請企業が作成する書類で、再下請負通知書は一次以下の下請負企業が作成します。これらをすべて合わせた書類を「施工体制台帳」と呼んでいます。
事務員たなか
ひとつの書類名と総称が一緒だから、訳分からんくなる。
上から下に向かって「再下請負通知書出してくださいねー!」と通知し、下から順番に書類を提出して元請企業が書類をまとめるという形になっています。
再下請負通知書の書き方
それでは早速、再下請負通知書の書き方について解説します。 再下請負通知書はA3用紙で作成されており、左半分と右半分で記入する会社の情報が決まっています。
まず、左側には自社の情報を記入します。
右側は、下請け業者がいる場合その会社の情報を記入します。
自社が一次会社の場合は右側に二次会社の情報を記入。自社が二次会社の場合は右側に三次会社の情報を記入。という塩梅です。
もし下請企業がいない場合は、右側は斜線を引き何も書かなくて問題ありません。
それでは、具体的な書き方についてみていきましょう!
再下請負通知書の枠外の書き方
- 年月日
- 直近上位の注文者名
- 元請名称
- 報告下請負業者
年月日
再下請負通知書を作成、または変更した年月日を記入します。
直近上位の注文者名・事業者ID
請け負った工事の注文者(発注者)を記入します。 自社が一次会社の場合は元請会社、自社が二次会社の場合は一次会社名を記入します。 最近の書式では、建設キャリアアップシステムの事業者IDを明記する場所が設けられています。 22で終わる14桁の数字を入力してください。
元請名称・事業者ID
元請企業名を記入します。 上位会社から再下請負通知書の作成依頼をもらった時点で、既に記入している場合がほとんどですが 念のため確認しましょう。 こちらにも、建設キャリアアップシステムの事業者IDを明記する場所が設けられている場合があります。
報告下請負業者
自社の情報を入力します。 「住所」・「会社名・事業者ID」・「電話番号・FAX番号」・「代表者名」等の記入をします。 元請企業が古い書式を使用している場合、代表者名の隣に押印欄が設けられている場合もあります。忘れずに押印しましょう。
自社に関する事項の書き方
- 工事名称及び工事内容
- 工期
- 注文者との契約日
- 建設業の許可
- 健康保険等の加入状況
- 監督員名・権限及び意見申出方法
- 現場代理人名・権限及び意見申出方法
- 主任技術者名・資格内容
- 安全衛生責任者名
- 安全衛生推進者名
- 雇用管理者名
- 専門技術者名・資格内容・担当工事内容
- 一号特定技能外国人の従事の状況
- 外国人建設就労者の従事の状況
- 外国人技能実習生の従事の状況
工事名称及び工事内容
直近上位注文者から請け負った、工事名と内容について記入します。 上位注文者から発行された注文書を見ながら記入してもよいですし、元請や上位会社から書き方について指示を受ける場合もありますので、確認しましょう。 「〇〇〇関連工事 機械器具設置工事」といった塩梅で入力します。
工期
自社工事の工期を記載します。
直近上位注文者からの注文書に記載がありますので、確認しながら入力してください。
「自」が開始日で、「至」が終了日となります。
注文者との契約日
直近上位注文者と自社が下請負契約を交わした日付を記入します。 直近上位注文者からの注文書に記載がありますので、確認しながら入力してください。
建設業の許可
◆施工に必要な許可業種 建設業の29業種の中で、「自社が許可を受けている」及び「今回の工事に必要」な業種を記入します。 軽微な建設工事の場合、許可の必要がないとされていますが、請負金額の条件があるので必ず確認しましょう。
軽微な建設工事とは?
- 建築一式工事以外の工事:1件の請負代金が500万円未満の工事
- 建築一式工事:請負代金が1,500万円未満、もしくは延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅の工事
◆許可番号 許可証に従って、大臣・知事の選択、特定・一般の選択をします。直接文字を入力したり、既存文字を〇の記号で囲む場合もあります。建設業許可証にすべて記載されていますので、誤りのないよう記入しましょう。 ◆許可(更新)年月日 許可を受けた日付を記入します。
併せて、建設業許可証のコピーを提出する場合が多いです。
健康保険等の加入状況
◆保険加入の有無 健康保険・厚生年金保険・雇用保険のそれぞれについて、「加入」「未加入」「適用除外」から選択する形となっています。各保険の適用を受ける営業所について届出を行っている場合には「加入」、行っていない場合は「未加入」、従業員規模等により各保険の適用が除外されている場合は「適用除外」を○で囲みます。
国土交通省が発行している上部画像のガイドラインに沿って、まずは自社がどのような保険に加入しなければならないのか再確認し、適切な記入を行いましょう。
健康保険組合や協会けんぽに加入している場合は、健康保険の欄を「加入」にします。
一人親方等で、国民健康保険や建設国保に加入している場合は「適用除外」を選択します。
◆事業所整理記号等 「営業所の名称」には、請負契約に係る営業所の名称を記入します。営業所がなければ会社名で問題ありません。 「健康保険」には、事業所整理記号及び事業所番号を記入します。こちらの番号は、「保険料納入告知書・領収済額通知書」等に記載されているので確認してください。(数字とカタカナの組み合わせの場合があります。) 協会けんぽではなく、健康保険組合に加入している場合は、加入している健康保険組合の名称のみ(例:〇〇健康保険組合)を記入します。 また、個人事業所や一人親方等で建設国保に加入している場合は、建設国保組合の名称(例:〇〇建設国保)を記入します。※参考:国土交通省 「厚生年金保険」にも、保険料納入告知書・領収済額通知書等に記載されている事業所整理記号を記入します。 「雇用保険」には、労働保険番号を記入します。労働保険に加入すると、事業所ごとに14桁の番号が付与されるので、労働保険料納入通知書等で確認してください。
書き方の制約がありややこしいです。
元請企業によっては書き方を指定される場合があるので、指示にしたがいましょう!
監督員名・権限及び意見申出方法
監督員とは、請負契約の的確な履行を担保するため、注文者の代理人として設計図書に従って工事が施工されているか否かを監督する者です。
つまり、再下請負関係(右ページ)に記載する下請企業を監督する担当者名(自社の者)を記載します。
権限及び意見申し出方法には、下請負契約書に明示されていると思いますので確認してください。「基本契約約款の通り、口頭及び文書による」等と記載しておけば問題ないでしょう。
監督員不要の場合は、記載を省略することもできます。
現場代理人名・権限及び意見申出方法
現場代理人とは、請負契約の的確な履行を担保するため、請負人の代理人として、工事現場の取締りを行い、重要な契約内容の変更や契約解除等を除いて工事の施工に関する一切の事項を処理する者を指します。
現場代理人になるのに資格や実務経歴等は必要ありませんので、基本的には誰を選任しても問題ありません。
権限及び意見申し出方法には、監督員と同様です。「基本契約約款の通り、口頭及び文書による」等と記載しておけば問題ないでしょう。
監督員と現場代理人は、同じ人になる場合が多いです。
主任技術者名・資格内容
主任技術者の名前を記載します。
建設業許可を受けた下請会社は、工事現場における施工の技術上の管理をつかさどる者として、「主任技術者」を配置しなければなりません。
建設業許可:有り | 建設業許可:無し | |
(建築一式工事の場合、1,500万円以上) | 請負金額500万円以上必要 | 工事不可 |
(建築一式工事の場合、1,500万円未満) | 請負金額500万円未満必要 | 不要 |
主任技術者と監理技術者の違いは、下記の記事で解説しています!
また、請負金額4,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上の個人住宅・長屋を除くほとんどの工事は、原則として主任技術者を現場に常駐させる必要があるため「専任」を選択します。そうではない場合で、他の工事とも兼務が可能な「非専任」を選択します。 資格内容には、記載した主任技術者が保有している資格等を記載します。
主任技術者の資格要件例
- 一級施工管理技士
- 一級建築士
- 技術士
- 10年以上の実務経験
- 大卒(指定学科)後、3年以上の実務経験
安全衛生責任者名
安全衛生責任者の名前を記入します。
選任するにあたって必要となる資格はありませんが、建設業や造船業の混在作業において、元請企業と下請企業の従業員の合計が常時50人以上の現場では必ず選任しなければならず、現場に常駐している必要があります。職長と安全衛生責任者を兼任するケースが一般的です。
安全衛生推進者名
安全衛生推進者の名前を記入します。
安全衛生推進者名は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する小規模な事業場において、設置が義務づけられています。
現場に常駐していない人物でも任命することができ、安全衛生責任者との兼務も可能です。
資格要件
- 大学又は高専卒業後に1年以上安全衛生の実務に従事している者
- 高等学校又は中等教育学校卒業後に3年以上安全衛生の実務に従事している者
- 5年以上(安全)衛生の実務に従事している者
- 安全衛生推進者養成講習・衛生推進者養成講習を修了した者
- 安全管理者及び衛生管理者・労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントの資格を有する者
雇用管理責任者名
雇用管理責任者の名前を記入します。
建設労働者雇用改善法では、建設業のすべての事業所に雇用管理責任者の選任を義務付けています。
雇用管理責任者は、会社の代表や人事等の労務担当者が専任されることが一般的です。
専門技術者名・資格内容・担当工事内容
請け負った一式工事に含まれる自社施工の専門工事が500万円以上の場合、必要な技能や実績を持つ専門技術者を配置しなければなりません。資格は主任技術者と同じなので、主任技術者と兼任する場合が多いです。 また、「担当工事内容」には、専門技術者が担当する工事について具体的に書き込みます
専門技術者配置の条件
- 「土木一式工事又は建築一式工事を構成する専門工事」,又は「専門工事(※)に附帯する他の専門工事を自ら施工する場合
- 各専門工事の額がそれぞれ500万円以上の場合
- 主任技術者又は監理技術者が当該専門工事の主任技術者としての資格又は実務経験を有しない場合
※専門工事とは、建設業許可業種のうち、土木一式工事・建築一式工事以外の26種類の建設工事のことを指す。
主任だー専任だー専門だーって分かりづらすぎる…
一号特定技能外国人の従事の状況
一号特定技能外国人とは、特定産業分野に関して、相当程度の知識や経験が必要な技能を持つ外国人向けの在留資格を保有する外国人のことをいいます。自社に一号特定技能外国人が建設工事に従事している場合は「有」に◯を、従事する予定がない場合は「無」に◯をします。
外国人建設就労者の従事の状況
外国人建設就労者とは、建設分野において技能実習を修了し引き続き国内に在留する人、または本国へ帰国した後に再入国する外国人を指します。外国人建設就労者が工建設工事に従事する場合は「有」に〇を、従事する予定がない場合は「無」に〇をします。 外国人建設就労者は、一時的な建設需要の増大に対応するため、緊急かつ時限的措置として始まりましたが、2021年3月31日に新たな受け入れを終了。2023年3月31日に完全に終了したようです。 2023年4月1日以降は、その在留資格が有効であっても、本制度に基づく就労はできない為、こちらの項目は「無」に〇をつけるでOKでしょう。
外国人技能実習生の従事の状況
外国人技能実習生とは、日本で技能や技術・知識を身に付け、母国で経済発展に寄与できるようにサポートする外国人のことを指します。外国人技能実習生が工建設工事に従事する場合は「有」に〇を、従事する予定がない場合は「無」に〇をします。
再下請負人に関することの書き方
こちらには、下請負業者の情報について記載します。 自社が一次会社の場合は二次会社の情報を、二次会社の場合は三次会社の情報を記載する塩梅です。 基本的には、下請構造の末端から安全書類を書いてもらうことになるので、下請業者から回収した再下請負通知書を見ながら情報をコピーペーストしていく形となります。 書き方については、<自社に関すること>で解説した書き方と一緒です。 違う点は、「監督員」の名前を書く欄がないことと、枠内に会社情報(会社名や住所等)欄が設けられているぐらいです。
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全建統一様式に則ったテンプレートを作成しました。 無料で公開しておりますので、もしよろしければご活用ください。
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年度末の現実逃避としてこちらの記事を作成しています。 毎回言っておりますが、安全書類、何故ちょっとずつ書式を変えるのか!!? ここ2週間で10件近くの安全書類を作…
まとめ
今回は、再下請負通知書について詳しく解説しました。 建設業特有の言葉が多く出てくるため難しいと感じますが、作業員名簿の次に作成する機会が多い書類でもありますので、少しずつ内容を覚えていくのが良いと思います。 再下請負通知書に合わせて提出を求められる書類もいくつかあります。下記の記事を参考に、準備を進めてくださいね。
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