本日も、契約金額20万円、作業日数1日工事の安全書類を60ページ作成・印刷したたなかです。 心の中で、「頑張れ!たなか頑張れ!お前は今までよくやってきた!お前はできるやつだ!」という炭次郎と、「パトラッシュ… たなかは疲れたんだ。なんだかとても眠そうだ。」というネロが交互に登場しながら、何とか作業を終えました。
事務員たなか
疲れすぎてテンションカオス
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話が脱線しました。
安全書類を提出するとなると、作業員名簿や再下請負通知書等の作成が大変なのはもちろんですが、それらと併せて提出しなければならない書類が、とんでもない量あるんです。
特に公共工事ですと書類の量は増えますので、どんな書類が必要か元請企業や上位企業に確認する必要があります。書類の不足がないよう、こちらの記事を是非参考にしてください。
この記事を書いた人
事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次
安全書類とは
そもそも安全書類とは、危険作業が伴う建設現場の安全を守るためにつくられる書類ことで、下請負人が元請け企業に提出します。事故の発生を未然に防ぐことはもちろん、万が一事故が起こってしまった場合に適切な対応を取り、責任の所在を明らかにするという目的もあります。
施工体制台帳や労務安全書類の総称として「安全書類」と呼ばれることも多く、作業員名簿や再下請負通知書、工事車両届や機械持込届等、数十種類に及びます。
これらを作成するだけでも大変な作業ですが、その他の提出書類も多く、グリーンサイトやCCUSに対応していない企業からの依頼では、毎回毎回紙で印刷したり、データをPDF化して送信したりという地獄の作業が待っています。
早速、その他の提出書類についてみていきましょう!
安全書類に付随する必要書類
こちらの必要書類は、依頼される元請企業や公共or民間工事によって変わります。 提出率が高い順に解説していきますので、是非参考にしてください。
安全書類に付随する必要書類
- 建設業許可証
- 退職金共済加入証明書
- 資格証
- 注文書・注文請書
- 下請基本契約書
- 社会保険加入証明書
- 雇用保険加入証明書
- 労働保険特別加入証明書
- 工事車両任意保険
- 時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)
- 就業規則
ほんと嫌になる…
1.建設業許可証
建設業許可を取得している場合、提出を求められます。
施工体制台帳や再下請負通知書に、許可番号や許可年月日を記入するところがありますから、記載事項が正しいかどうかの確認にも必要です。
2.退職金共済加入証明書
作業員名簿に退職金共済加入有無の記載が必須になったことから、退職金共済加入証明書の提出がほとんどの場合必要となりました。建設業退職金共済や中小企業退職金共済、自社の退職金制度等、必要に応じて証明書を発行する必要があります。
建退共に加入していない場合は、併せて「建設業退職金共済辞退届」を出す場合も多いので、注意してください。
3.資格証
工事で必要な資格については、作業員名簿に記載するようになっています。本来、作業日に資格証等を携帯すれば問題ありませんが、事前に写しの提出を求められるケースが多いです。作業員名簿の注意書きにも、「※資格・免許等の写しを添付することが望ましい。」と記載されているので、作業員名簿を提出するときは、一緒に提出するのが無難です。
毎回印刷するのは大変なので、個人毎に資格証をまとめてPDF化しておくと楽です。
4.注文書・注文請書
上位企業や下請負企業と交わした注文書・注文請書のコピーも必要です。
請書の原本は印紙を貼って上位企業に提出していると思うので、必ずコピーと取っておくようにしましょう。
5.下請基本契約書
上位企業や下請負企業と交わした基本契約書のコピーを提出します。本来、上位企業が下請け企業との契約書を準備すればよいと思うのですが、上位企業との契約書も下請負企業との契約書もどちらも準備してくださいと言われることが多いです。
契約書はページ数が多いので、紙勿体ないと思いながら印刷してます。
6.社会保険加入証明書
一人親方偽装問題や、事業所の社会保険未加入問題等があり、社会保険の加入に対し国は非常に厳しくなっています。法人の場合、健康保険・厚生年金は加入が義務付けられています(※一部条件有)。個人事業主の場合でも、常用労働者が5人以上いる場合は加入義務があります(※一部条件有)。社会保険への加入証明書を求められるケースは増えていますので、再下請負通知書や社会保険料加入証明書を提出する場合は抜けがないよう注意してください。
社会保険に加入しているかどうかを証明する書類は、複数あります。
ほとんどは「直近の保険料納入告知額・領収済額通知書」で事足りますが、そのほかに「資格取得確認及び標準報酬決定通知書」等を求められる場合もあります。
これらは、健康保険組合、日本年金機構または事業者が所在する地域を管轄する年金事務所等が発行しているので、郵送物を忘れずに保管しておいてください。
社会保険証明書類例
- 納入告知書
- 保険料納入告知額・領収済額通知書
- 社会保険料納入確認書
- 健康保険・厚生年金保険 適用事業所関係事項確認書
- 健康保険・厚生年金保険 適用確認願
- 適用事業所
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者標準報酬月額決定通知書
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届
7.雇用保険加入証明書
雇用保険は、法人・個人事業主問わず従業員がいれば加入する義務があります。
雇用保険加入証明書もいくつか種類がありますが、よく提出するのは「労働保険料等納入通知書」です。都道府県労働局または、公共職業安定所等が発行しているので確認してください。
社会保険加入証明書の場合も同じですが、金額等は基本的に黒でマスキングします。
雇用保険証明書類例
- 雇用保険証明書
- 雇用保険 適用事業所設置届
- 納付書・領収証書
- 労働保険料納入通知書
- 労働保険事務等委託書
- 事業所台帳
8.労災保険特別加入証明書
労災保険は、雇用されて働く労働者を対象にした保険制度の為、事業主や一人親方の場合「適用除外」となります。 しかし、事業主であっても、働き方の実態として労働者と同じように現場に出て働く人も多い為、例外的に労災保険に加入できる制度を「労災保険の特別加入」と呼んでいます。 加入義務はありませんが、事業主やひとり親方が現場に入る際は提示が求められるケースが多いです。
万が一何かあった場合、困りますからね。
「労災保険特別加入証明書」や「労働者災害補償保険特別加入証明書」と呼ばれるものです。毎年4月1日に更新されるものなので、有効期限も確認しておきましょう。
9.工事車両任意保険
工事車両届の注意書きで「任意保険を添付してください」と記載されている場合が多いです。場合によっては、車検証や自賠責保険も提出を求められます。
10.時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)
頻度は少ないですが、時間外・休日労働に関する協定届の提出を求められる場合があります。 2024年4月より、適用猶予とされていた建設業に対する時間外労働の上限規制が適用されます。これにより、もしかしたら36協定届の提出頻度は上がるかもしれません。基本的に、ちゃんと36協定届を出してて、社会保険も加入しててという会社しか現場へ入場できなくなる時代になってきているのですね。
11.就業規則
36協定届とセットで提出することが多いのが就業規則です。こちらも、時間外や休日出勤の定めがきちんと記載されているか、また退職金に対する記載を確認しているようです。
安全書類の効率化
安全書類と検索すると「めんどくさい」が二語目に予測されるように、ほとんどの方が安全書類を面倒なものと思っています。うん、分かります。しかし、安全な工事の為に提出が必要なのも分かる。
一番効率的なのは、やはり「電子化する」ということだと思うのですが、グリーンサイトやCCUSの登録状況からみても、全社実現まではまだまだ遠いところ。
弊社は、全取引会社のうちグリーンサイト加入率15%、CCUS加入率7%ですからね。あとは、紙やらデータやら。
というわけで、少しでも提出が楽になるように私が行っている原始的な方法をご紹介します。
よく提出する書類は、まとめて印刷しておく
提出頻度の高い建設業許可証は5年に一度しか書類が変わりませんし、退職金共済加入証明書も半年に一度程度新しいものをダウンロード(発行)すれば問題ないので、まとめてどかっと印刷しています。それをファイリング。 必要なときはそこから取り出して、ちゃちゃっとまとめます。
よく提出する書類は、まとめてPDF化しておく
印刷せずとも、まとめてPDF化しておくのも多少の時短になります。 膨大な書類を一枚一枚印刷するのも、ひとつひとつPDFなりデータを開いて印刷するのも大変なので、一つのPDFにすべての書類をまとめておけば、一回開いてぽちり印刷でOK。
社会保険・雇用保険の領収書は、届いた瞬間マスキングしてPDF化
社会保険や雇用保険の領収書は、定期的に郵送で届くと思います。安全書類の場合、直近の領収書の提出が求められますので、郵送物が届いたらすぐに「金額」をマスキングしてPDF化しています。安全書類の作成は、時間なき戦いになることもあるので、時間に余裕のあるうちにすぐ提出できる形で保存しておくのは大事です。
ちなみに私は、紙できた領収書をjpgスキャン→「ペイント」でマスキング→PDFで保存してます。
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まとめ
おわかりいただけただろうか…
紙での書類提出にほぼ効率化は不可能だという現実を…
安全書類自体の作成以外にも、付随して提出しなければならない書類は膨大です。紙で提出するとなると、効率化はほとんど難しく、まとめてPDF化しておくくらいしかありません。人手不足が深刻化する中で、いよいよ安全書類は外注という時代も来るかもしれません。 建設業もようやく少し電子化が進みましたが、紙とデータが混在している今が、一番業務過多となっています。事務職としては、早くDXしてほしいというのが本音ですね。
でもそうやって人件費を削られると、真っ先にリストラされるの私ですからね。難しいところです。