【安全書類】監理技術者と主任技術者の違いは?2024年最新の下請金額要件を確認!

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施工体制台帳や施工体制図を作成している際に登場する「監理技術者」と「主任技術者」。それぞれ工事には欠かすことのできない配置技術者ですが、果たして違いは何なのでしょうか?

今回は、よく混同される監理技術者と主任技術者の違いについてまとめ、それぞれの技術者になるための要件を解説します。
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)


建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次

配置技術者とは?

監理技術者と主任技術者の違いについて解説する前に、「配置技術者」についてみていきましょう。
建設⼯事の適正な施⼯を確保するためには、施⼯する⼯事現場に、建設工事の内容に合致した所定の資格・経験を有する技術者を設置し、施⼯状況の管理・監督をしなければなりません。
建設業法 第26条参照

このような法律があることから、建設業許可業者は、元請でも下請でも請負⾦額の⼤⼩に関わらず、施工する工事現場に必ず技術者を配置し、建設工事の管理・監督をしなければなりません。工事現場に配置する技術者を、配置技術者と呼びます。

配置技術者は二種類

建設業許可業者は、請負金額に関わらず「配置技術者」を選任しなければならないことが分かりました。
配置技術者には、二つの種類があります。それが主任技術者と監理技術者です。

監理技術者とは?

監理技術者とは、発注者から工事を直接請け負い(元請業者)、4,500万円(建築一式工事の場合7,000万円)以上の下請契約で発注する際に必要となる技術者です。

施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び工事の施工に従事する者の指導監督を行います。主任技術者と基本的な役割に大きな差はありませんが、金額が大きく大規模な工事になることから、より高度な経験や資格が求められます。

監理技術者は、元請企業が配置する可能性がある技術者です。
大きな工事になった場合でも、下請企業は監理技術者を配置することはありませんので、注意してください。

主任技術者とは?

一方主任技術者とは、下請金額が4,500万円(建築一式の場合7,000万円)未満の工事の場合に配置しなければならない技術者のことを指します。元請・下請、請負金額に関わらず、建設業許可業者であるならば必ず配置しなければなりません。
事務員たなか

下請企業の場合は、金額に関わらず主任技術者を配置し、元請企業の場合は下請金額によって監理技術者か主任技術者を配置することになります。

主任技術者の配置緩和

建設業許可業者の場合、監理技術者か主任技術者どちらかを必ず配置しなければならないとお話しましたが、令和2年10月1日より、配置義務が一部緩和されました。鉄筋工事・型枠工事で下請金額が4,000万円未満の工事において、以下の要件を満たせば必ずしも主任技術者を配置する必要がなくなりました。
主任技術者の配置義務緩和の条件
  • 鉄筋工事or型枠工事
  • 請負代金4,000万円未満
  • 工事を注文する者と工事を請け負う者が書面において合意をする
  • 元請負人が、あらかじめ注文者の承諾を得ている。
  • 主任技術者を置く上位企業の主任技術者は、当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し1年以上の指導監督的実務経験があり、工事現場に専任で置かれていること
  • 再下請負は禁止
事務員たなか

法律が緩和されたものの、
条件が多数あるので結局主任技術者を配置する案件が多いですね。

配置技術者の要件

主任技術者または監理技術者になるには、まず⼯事を請け負った建設業者との間に「直接的かつ恒常的な雇⽤関係が必要」とされています。出向者や派遣社員、⼀つの⼯事期間のみの短期雇⽤の場合は配置技術者にはなれませんので、注意が必要です。また、主任技術者・監理技術者になる為には、下記のような資格等が必要です。

監理技術者になれる人は?

主任技術者になるために必要な要件
  • 指定建設業7業種の場合、1級国家資格を保有している
  • 建設業22業種の場合、実務経験の条件を満たす

指定建設業7業種の場合、1級国家資格を保有している

建設業29業種のうち、「土木工事業」「建築工事業」「電気工事業」「管工事業」「鋼構造物工事業」「舗装工事業」「造園工事業」の7業種は、他の業種に比べて総合的な施工技術を必要とする事や社会的責任が大きい事から、1級国家資格や技術士等を保有することが監理技術者になるための要件となっています。
指定建設業7業種の資格要件
  • 土木工事業  :一級土木施工管理技士、一級建設機械施工技士、技術士(建設・総合技術監理)他
  • 建築工事業  :1級建築施工管理技士、1級建築士
  • 電気工事業  :1級電気工事施工管理技士、技術士(建設・総合技術監理)他
  • 管工事業   :1級管工事施工管理技士、技術士(上下水道・総合技術監理)他
  • 鋼構造物工事業:1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、1級建築士他
  • 舗装工事業  :1級建設機械施工技士、1級土木施工管理技士、技術士(建設・総合技術監理)他
  • 造園工事業  :1級造園施工管理技士、技術士(建設・総合技術監理)他

建設業22業種の場合、実務経験の条件を満たす

下記の建設業22業種の場合、必要な学歴や資格、実務経験の条件を満たすことで監理技術者になることができます。
建設業22業種
  • 大工工事業
  • 左官工事業
  • とび・土工・コンクリート工事業
  • 石工事業
  • 屋根工事業
  • タイル・れんが・ブロック工事業
  • 鉄筋工事業
  • しゅんせつ工事業
  • 板金工事業
  • ガラス工事業
  • 塗装工事業
  • 防水工事業
  • 内装仕上工事業
  • 機械器具設置工事業
  • 熱絶縁工事業
  • 電気通信工事業
  • さく井工事業
  • 建具工事業
  • 水道施設工事業
  • 消防施設工事業
  • 解体工事業
  • 電気通信工事業
上記の業種に該当する場合、該当業種の工事に関わる「実務経験」と工事を監理する「指導監督的実務経験」の両方の条件を満たす必要があります。それぞれ必要な経験年数は以下の通りです。

学歴または資格
必要な実務経験年数
実務経験指導監督的実務経験
学校教育法による大学・短期大学・高等専門学校(5年制)・
専修学校の専門課程を卒業し、かつ、指定学科を履修した者
卒業後
3年以上
2年以上
学校教育法による高等学校・専修学校の専門課程
を卒業し、かつ、指定学科を履修した者
卒業後
5年以上
2年以上
建設業法施行規則第7条に定める技術検定
(1級)に合格した者
合格後
3年以上
2年以上
建設業法施行規則第7条に定める技術検定
(2級)に合格した者
合格後
5年以上
2年以上
技術検定2級又は技能検定1級等を有している者2年以上
平成16年3月31日以前に技能検定2級等
   を有している者
合格後
1年以上
2年以上
平成16年4月1日以降に技能検定2級等
   を有している者
合格後
3年以上
2年以上
電気通信主任技術者資格者証を有している者交付後
5年以上
2年以上
上記イ・ロ以外の者10年以上2年以上
参考:一般財団法人建設業技術者センター 実務経験者用申請「作成の手引き」(pdf形式)
指導監督的実務経験とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験のことをいいます。下記の要件を満たす必要があるので、監理技術者になるにはとてもハードルが高いことが分かります。
指導監督的実務経験の要件
  1. 元請工事である
  2. 1件の工事が請負代金 4,500 万円以上である
  3. 申請業種で請け負っている工事である
  4. 工事の技術面を総合的に指導監督した経験である
事務員たなか

弊社のような中小企業では、
実務経験から監理技術者になるのは難しいということです。

また、これらの経験をしたという証拠書類の提出も必要です。特に「指導監督的実務経験」には、現場監督や主任技術者など、工事全体の技術面を総合的に指導監督する立場であると確認できることが必要ですので注意してください。
監理技術者になるための詳しい要件が知りたい方は、一般財団法人建設業技術者センター申請方法等まとめているのでご確認ください。

主任技術者になれる人は?

主任技術者になるにも、特定の国家資格の取得や実務経験が必要です。
主任技術者になるために必要な要件
  • 特定の国家資格を保有する
  • 一定期間の実務経験がある
  • 登録基幹技能者の講習を受ける

特定の国家資格を保有する

特定の国家資格を取得することで、主任技術者になることができます。
監理技術者に比べて目指せる資格の種類が多く、2級も対象となっているので比較的チャレンジしやすいのではないでしょうか。

「1・2級建設機械施工技士」「1・2級土木施工管理技士」「第1・2種電気工事士」といった資格が対象となっているので、詳しくは国土交通省の「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」を参照してください。

一定期間の実務経験がある

一定期間以上の実務経験がある場合も主任技術者になることが可能です。必要となる実務経験の年数は、学歴によって異なるので注意が必要です。
学歴または資格必要な実務経験年数
大学・短期大学・高等専門学校・専門学校(専門士又は高度専門士)の指定学科卒業後3年以上
高等学校・専門学校のの指定学科卒業後5年以上
上記以外卒業後10年以上

登録基幹技能者の講習を受ける

2018年4月1日以降、登録基幹技能者であれば主任技術者要件を満たす者として認められることとなりました。
登録基幹技能者とは、熟達した作業能力・現場を効率的にまとめるマネジメント能力及び豊富な知識を備え、国土交通大臣の登録を受けた講習を修了した技能者のことを指します。

登録基幹技能者の講習の受講にも要件があり、当該基幹技能者の職種において、10年以上の実務経験と実務経験のうち3年以上の職長経験がなければいけないので、上記の実務経験と難易度は変わりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
主任技術者と監理技術者は、いずれも建設業において重要な役割を担っています。役割に大きな差はありませんが、工事の規模が異なることから、必要な資格や経験に違いがあるので注意が必要です。

また、元請企業の場合、下請金額によって監理技術者を配置しなければいけないか?主任技術者を配置しなければいけないか?が変わってきます。この下請金額が変わることがよくありますので、最新の建設業法を確認しながら適切な配置を行うようにしましょう。

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