建設業は、他の産業に比べて事故や災害のリスクが高い職場です。
高所作業、重機の使用、大量の人員が同時に働くことが多い現場では、些細なミスが重大な事故につながることがあります。そのため、建設現場においては安全衛生管理が非常に重要となります。この重要な役割を担うのが「安全衛生責任者」です。
本記事では、安全衛生責任者の役割、責任、必要な資格やスキルについて詳しく解説します。
この記事を書いた人
事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
\ コドじむは、安全書類の作成代行をはじめました! /
- 安全書類に時間を取られて時間がない!
- 事務員を雇うとコストもリスクもかかる!
- 建設キャリアアップシステムもグリーンサイト分からない!
▼ ▼ ▼
面倒な安全書類は外注して、工事作業に専念しませんか?
\ 作業員名簿3,500円~!今ならWeb相談無料! /
目次
安全衛生責任者とは
安全衛生責任者とは、特定元方事業者が「統括安全衛生責任者」を選任しなければならない現場において、仕事を自ら行う関係請負人が選任しなければならない者です。
事務員たなか
元請企業が「統括安全衛生責任者」を選任していたら、我々下請企業は「安全衛生責任者」を立てなきゃいけないってわけです。
では、元請企業から選任される「統括安全衛生責任者」とはどういった場合に必要なのでしょうか?
統括安全衛生責任者とは?
統括安全衛生責任者は、建設業または造船業の特定事業の現場において、一定規模以上の混在作業が発生する場合に元請企業より選任する者を指します。労働安全衛生法第15条では、一定規模以上の混在作業においては、労働災害防止のため、元方事業者が統括安全衛生責任者を、関係請負人が安全衛生責任者をそれぞれ選任する必要があると定められています。
第十五条一項労働安全衛生法 第15条1項
事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が二以上あるため、その者が二以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。以下「元方事業者」という。)のうち、建設業その他政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行う者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。以下「関係請負人」という。)の労働者が当該場所において作業を行うときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、第三十条第一項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない。
第十五条三項労働安全衛生法 第15条3項
第三十条第四項の場合において、同項のすべての労働者の数が政令で定める数以上であるときは、当該指名された事業者は、これらの労働者に関し、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、同条第一項各号の事項を統括管理させなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、第一項の規定は、適用しない。
では、「一定規模」とはどのような工事をさすのでしょう?
統括安全衛生責任者における一定規模の工事とは?
統括安全衛生責任者を配置しなければならない工事は、同一の場所で、元請企業・下請企業合わせて常時50人以上の労働者が混在する現場です。これは重層下請構造の末端まで含みますので、中規模程度の工事でもあっという間に50人を超えてくることになります。50人以上を越えた場合は、元請企業から「統括安全衛生責任者」を配置し、自動的に下請企業それぞれの企業毎に「安全衛生責任者」を配置しなければならないということです。
また、ずい道・圧気・一定の場所での橋梁工事等の場合は、常時30人以上の場合配置が必要になりますので、注意してください。
文章だと分かりづらいので、図にしてみました。
今回は、統括安全衛生責任者と安全衛生責任者に着目して図式化しましたが、労働者数が要件以下の場合でも、「店社安全衛生管理者」という管理者が必要な場合もあるので、あわせて確認してください。
また、建設業で且つ、統括安全衛生責任者を配置する場合は元請企業から「元方安全衛生管理者」も配置しなければなりません。統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者・安全衛生責任者・安全衛生推進者等と類似した言葉が多いので、別記事にて、解説します。
安全衛生責任者を選任した下請企業は、選任した旨を遅延なく特定元方事業者へ連絡する必要があります。(安衛法第16条第2項)
安全衛生責任者は、「作業員名簿の特記事項」「再下請負通知書」「下請負業者編成表」に記述する箇所があります。忘れずに明記するようにしてくださいね。
あわせて読みたい!各書類の書き方はコチラから!
安全衛生責任者の役割
安全衛生責任者の職務内容は、労働環境の安全・衛生の確保などを目的とした省令である「労働安全衛生規則第十九条」に定められています。
- 統括安全衛生責任者との連絡
- 統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の関係者への連絡
- 統括安全衛生責任者からの連絡に係る事項のうち、当該請負人に係るものの実施についての管理
- 請負人が労働者の作業実施計画と、特定元方事業者が作成する仕事や工程の計画等との整合性の確保を図るための統括安全衛生責任者との調整
- 請負人の労働者の行う作業および、請負人の労働者以外の者が同じ場所で作業を行うことで生ずる労働災害の危険の有無の確認
- 請負人がその仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合、他の請負人の安全衛生責任者との作業間の連絡および調整
ご覧の通り、主な仕事は、元請企業から選任される「統括安全衛生責任者」との連絡・調整です。統括安全衛生責任者から受けた連絡事項を関係者に伝えたり、統括安全衛生責任者等と一体となって現場の現場の安全管理に努めることが役割となっています。
安全衛生責任者は常駐義務があるのか?
安全衛生責任者を配置しなければいけない場合、その現場に常駐する義務はあるのか?と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
法律上、安全衛生責任者の常駐義務をうたっている箇所はありません。
しかし、上記であげた「安全衛生責任者としての役割」を遂行するためには、現場に常駐していなければできないことが多い為、常駐していることが望ましいと言えます。
そもそも安全衛生責任者は、現場の安全管理を行い、労働災害防止に努める目的で配置されます。再下請負通知書にただ名前を書くというだけではなく、どのような目的で配置されているのかを社内で共有し、適切な配置を行うことが大切です。
また、安全衛生責任者がやむを得ない理由で職務を行うことができない場合は、代理者の選任義務があることから、常駐することが望ましいといえるでしょう。
関係請負人(下請けの事業者)は、安全衛生責任者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行なうことができないときは、代理者を選任しなければなりません。
安全衛生責任者になるには?
では、安全衛生責任者はどういった方がなれるのでしょうか?
安全衛生責任者になるために、特定の資格や条件は定められていません。とはいえ、厚生労働省によると、安全衛生責任者として初めて業務に従事することとなった場合は、概ね5年ごとに「職長・安全衛生責任者教育」等の教育、講習等を実施するよう努めてくださいといった旨が記述されています。
また、機械設備等に大幅な変更があった場合は、当該業務に関する能力の向上を図るため、再教育を受講することが推奨されています。
\ コドじむは、安全書類の作成代行をはじめました! /
- 安全書類に時間を取られて時間がない!
- 事務員を雇うとコストもリスクもかかる!
- 建設キャリアアップシステムもグリーンサイト分からない!
▼ ▼ ▼
面倒な安全書類は外注して、工事作業に専念しませんか?
\ 作業員名簿3,500円~!今ならWeb相談無料! /
【事例あり】AIで自動作成もできる!安全標語の作成ポイントをまとめてみた。
建設業で働く人なら、職場の上司や元請企業から「安全標語作成してみない?」と打診された経験があるのではないでしょうか。工事現場や工場等で目立つ位置に貼ってある…
【安全書類】迷いなし!全建統一様式の作業員名簿を徹底解説!
安全書類担当の事務の皆様。 今日も「面倒だな…」と思いながら、淡々と安全書類作成作業を行っていますでしょうか。 DA.YO.NE…思わず検索したくなる程の面倒くささ とは…
まとめ
いかがでしたでしょうか?
安全衛生責任者は、労働者の安全衛生管理や労働災害を防止するために欠かせない存在です。安全衛生責任者が統括安全衛生責任者と連携と取り、適切に職務を遂行することで、労働者が安心して働ける環境が整います。企業の信頼性も向上することでしょう。これからも、安全衛生責任者の役割と重要性を理解し、効果的な対策を講じることが求められます。