建設業界で安全を確保するために重要な職長教育。安全衛生管理の基礎知識や現場での責任を果たすために必要なスキルを習得する研修ですが、更新を怠った場合にはどのような影響があるのでしょうか?
この記事では、職長教育の更新の必要性、再教育の義務、オンライン対応の状況などについて詳しく解説します。職長教育の有効期限や更新の方法を知り、リスクを回避するための知識を深めていきましょう。
記事のポイント
- 職長教育の有効期限や更新の必要性について
- 再教育を受けない場合のリスクと現場での影響
- 再教育のカリキュラム内容
- オンライン形式の再教育の受講方法
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次
職長教育5年更新しないとどうなるか

- 職長教育とは
- 職長安全衛生責任者教育の再教育とは
- 職長教育の再教育は義務?
- 職長教育5年更新しないとどうなる?
- 【期限切れ】職長教育は有効期限がある?
- 職長の再教育をオンラインで受講する方法
職長教育とは

職長教育とは、作業現場において労働者を直接指揮・監督する者が必要な知識とスキルを習得するための安全衛生教育です。労働安全衛生法第60条に基づき、職長教育を受講していない者は職長になることができません。
この教育では、作業方法の決定や労働者の適切な配置、指導・監督の方法、危険予知活動(KYT)・災害の防止などを学びます。職長教育の内容と時間は、労働安全衛生規則第40条により定められており、特に危険作業を伴う現場では欠かせないものです。受講対象者は、現場の管理職や監督者が中心ですが、新任の職長にも必須の教育です。
事項 | 職長教育時間 |
作業方法・手順の決定及び労働者の配置に関すること | 120分 |
労働者に対する指導又は監督の方法に関すること | 150分 |
危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること | 240分 |
異常時等における措置に関すること | 90分 |
その他、作業に係る設備及び作業場所の保守管理の方法・労働災害防止活動に関すること | 120分 |
合計 | 12時間 |
職長とよく混同される安全衛生責任者教育は、ひとつの現場に複数の事業者が入る「混在作業」における労働災害を防止することを目的としています。このため、職長教育は労働者を直接指導・監督する者への教育であり、安全衛生責任者教育とは目的が異なります。
なお、建設業界では、職長が安全衛生責任者を兼任することが一般的です。このため、厚生労働省は両方の教育を統合した「職長・安全衛生責任者教育」の実施を推奨しています。この統合教育では、現場管理者として必要な幅広い知識とスキルを一度に学べるため、効率的で効果的な研修といえます。
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職長安全衛生責任者教育の再教育とは

職長・安全衛生責任者の再教育は、職長・安全衛生責任者能力向上教育とも呼ばれ、労働災害の防止と現場の安全性向上を目的とした教育です。
事業者は、概ね5年ごと、または機械設備などに大幅な変更があった際に、職長および安全衛生責任者に再教育を受講させることが望ましいとされています。再教育は、厚生労働省が定めたカリキュラムに基づき実施され、安全衛生団体や労働者教育を行う機関が主催する場合が多いです。
この再教育は、主に建設業界での職長および安全衛生責任者を対象に行われ、最新の安全衛生知識や技能をアップデートし、現場管理能力を向上させることを目的としています。
事項 | 職長再教育時間 |
職長等及び安全衛生責任者として行うべき労働災害防止に関すること | 120分 |
労働者に対する指導又は監督の方法に関すること | 60分 |
危険性又は有害性等の調査等に関すること | 30分 |
グループ演習 | 130分 |
合計 | 340分 |
職長の再教育では、職長教育には含まれていない「グループ演習」という130分の項目が設けられており、これが再教育の大きな特徴の一つです。
この演習は、講義内容の理解を深めるとともに理解度のばらつきを少なくすること、受講者同士の討議を通じて新たな気付きを得ること、職長としての監督指導能力や自職場の課題を見直し改善につなげること、そして自己啓発と仲間意識の醸成を図ること等を目的としています。
演習では、職長の職務を行うに当たっての課題や危険予知活動などのテーマをもとに、リスクの分析や改善策の検討を行います。受講者は意見交換を通じて課題を共有し、具体的な解決策を模索します。これにより、実践的なスキルやリーダーシップを強化し、現場での安全管理能力をさらに高めることができます。グループ演習は、職長としての成長と現場の安全性向上を促進する貴重な機会です。
職長教育の再教育は義務?
再教育は法律で義務付けられているものではありませんが、職長や安全衛生責任者について、事業者が初任時および概ね5年ごと、または機械設備などに大幅な変更があった際に、再教育を受けさせることが努力義務となっています。
(安全衛生教育)引用:労働安全衛生法 第59条3項
第六十条の二 事業者は、前二条に定めるもののほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない。
この再教育は、職長や安全衛生責任者が最新の知識を習得し、現場で適切な安全管理を実践するために重要な役割を果たします。特に建設業界では、安全衛生に関する法律や規則が頻繁に改正されるため、定期的に知識を更新し続けることが現場の安全性を確保する上で欠かせません。
再教育を実施することで、職長としての能力を維持し、現場での適切な安全管理を実現すると同時に、リーダーとしての信頼性を高めることができます。事業者が再教育を計画的に実施することは、労働災害のリスク軽減や現場全体の安全意識向上に寄与します。義務ではないものの、再教育を定期的に行うことは、安全で効率的な作業環境を整えるために非常に重要な取り組みです。

最近では、「職長教育受講から5年経っているので、再教育受けてくださいね!」と元請企業からの催促も増えています。



義務ではないから・・・といって受講しないのではなく、安全第一の現場を作っていきましょう。
グリーンサイト経由で職長再教育を促される場合もあるので、要注意!
職長教育5年更新しないとどうなる?


職長教育は概ね5年ごとの再教育が推奨されていますが、5年で更新しないからといって罰則が科されるわけでもなく、資格が失効することもありません。しかし、職長として現場での安全を維持し続けるには、定期的に再教育を受けることが推奨されています。これは法律上の義務ではありませんが、最新の安全衛生知識やスキルを習得し、現場のリスクを適切に管理するためには重要な取り組みです。
再教育を受けずに放置していると、現場での安全管理能力が低下し、労働災害の発生リスクが高まる可能性があります。また、職長としての信頼を損ない、責任者としての役割を十分に果たせない状況に陥る恐れもあるでしょう。特に、災害が発生した場合には、現場管理者としての対応力不足が問われることになりかねません。
更新を怠ることで、法令の改正内容や新しい技術情報に対応できなくなるケースもあります。職長は現場のリーダーとして常に進化する安全管理の知識を持ち続けることが求められるため、5年を目安に再教育を受講することは、現場全体の安全意識向上にもつながります。罰則がないからといって安心せず、積極的に再教育に取り組む姿勢が大切です。
【期限切れ】職長教育は有効期限がある?
職長教育には有効期限の定めはありません。そのため、一度職長教育を受講すれば、資格が失効することはありません。しかし、上述した通り、事業者は初任時の教育に加え、概ね5年ごと、または機械設備などに大きな変更があった際に再教育を実施することが推奨されています。
この再教育は、職長が最新の安全衛生法令や現場のリスク管理について学び直すことで、安全性を高めることを目的としています。更新の義務はありませんが、再教育を通じて現場の安全管理能力を維持・向上させることが重要です。職長として信頼され続けるためには、継続的な学習が欠かせません。
職長の再教育をオンラインで受講する方法


近年では、職長教育の再教育をオンライン形式で受講できるプログラムが増加しています。オンライン教育の最大のメリットは、Eラーニングを活用することで、時間や場所を問わず講義を受講できる点です。特に忙しい職長や現場監督者にとって、自分のスケジュールに合わせて柔軟に学習を進められるため、非常に便利です。
Eラーニングでは通常、受講者の進捗や参加状況を適切に管理するために監視者を配置しますが、一部の教育機関ではAI顔認証システムを導入しており、受講の公平性と信頼性を担保しています。
また、130分必要とされるグループ討議については、日程を予約し、Zoomなどを利用したオンラインミーティング形式で行う流れが一般的です。この形式により、対話や意見交換を通じて実践的な学びを深めることができます。
ただし、提供される教育内容や形式は機関によって異なるため、受講前にプログラムの詳細をしっかり確認することが重要です。また、オンラインと対面授業を組み合わせたハイブリッド形式を採用しているプログラムもあり、ご自身に合う形で受講してみてください。
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総括:職長教育を5年更新しないとどうなる?期限切れの影響と再教育について
職長教育とその再教育は、現場の安全を守り、労働災害を未然に防ぐための重要な取り組みです。職長教育には有効期限はありませんが、5年を目安に再教育を受けることが推奨されており、最新の安全衛生知識やスキルの習得が求められます。再教育を通じて、現場での信頼性を高め、適切な指揮監督を行うための準備が整います。
さらに、近年ではオンライン形式での再教育も増え、忙しい職長や現場監督者にとって柔軟な受講が可能となりました。これにより、安全管理能力を効率的に向上させる選択肢が広がっています。
罰則がないからといって再教育を怠ることは、現場全体の安全性を損なうリスクを伴います。安全第一の現場を実現するために、積極的に再教育を活用し、継続的な学習を心がけましょう。
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