建設業の専任技術者とは?主任技術者との違いや兼務・要件緩和をわかりやすく解説

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建設業許可を取得する際に必要となる「専任技術者」。
しかし、主任技術者との違いがよくわからなかったり、「専任って常駐しなければいけないの?」「他の現場と兼務できるの?」といった疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、専任技術者の基本的な役割や要件、主任技術者との違い、そして要件緩和のポイントまで、わかりやすく解説します。
元請すずきさん

たなかさーん!専任技術者の証明書を提出してもらえます~?

事務員たなか

ふぁ?!専任技術者証明書ってなんや?

この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)


建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次

建設業の専任技術者とは?主任技術者との違いや兼務・要件緩和について

  1. 専任技術者とは?
  2. 専任技術者証明書とは?
  3. 専任技術者と主任技術者の違いとは?
  4. 【令和6年改正】専任技術者は常駐義務あり?主任技術者との兼務は可能?
  5. 専任技術者が退職した場合

専任技術者とは?

専任技術者とは、建設工事に関する請負契約の適正な締結がされるよう技術的観点から契約内容の確認を行うほか、その契約の適正な履行を確保することを目的に、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識を有する技術者です。

専任技術者の配置は、建設業許可を受けるために必要な要件のひとつとなっており、見積の作成や入札手続き、請負契約締結等の建設業に関する営業活動は、営業所毎に行われることから、営業所毎に一定の資格・または経験を有した専任技術者を配置しなければならないとされています。
項目内容
対象建設業許可を取得しようとする営業所
目的請負契約の適正な締結と履行を技術的に確保するため
配置義務営業所ごとに1名以上、許可要件として必須
必要な資格業種に応じた国家資格、または所定の実務経験

専任技術者証明書とは?

上述した通り、建設業許可申請時に「専任技術者証明書」というものが必要になります。
工事が決まった際に提出する安全書類や施工体制台帳の中にこの「専任技術者証明書」の提出は基本的に含まれていませんが、企業によっては提出が求められるケースがあるようです。専任技術者証明書ってなんぞや?という方は、建設業許可関連書類の中のひとつということだけ覚えておくと良いと思います。
事務員たなか

弊社でも大規模工事の際に一度だけ提出してねと言われたことがあります。現場代理人ですら「なんのこっちゃ」で書類を探すのに苦労したので、頭の片隅に覚えておくと良いかもしれません。

専任技術者と主任技術者の違いとは?

建設業では混同されやすい「専任技術者」と「主任技術者」。
どちらも一定の技術力を持つ重要な役割ですが、配置される場所や目的、求められる義務が大きく異なります。
この違いを正しく理解しておかないと、後述する「兼務の可否」や「常駐義務」に関する判断を誤ってしまう可能性があります。

まず、専任技術者は営業所に常駐する技術者であり、建設業の許可を受けるために必要な要件のひとつです。主に契約締結前の段階で技術的な観点から見積書や契約内容の妥当性を確認し、適正な契約の実現を担保する立場です。建設業法では、営業所ごとにこの専任技術者を置くことが義務づけられています。

一方、主任技術者は、実際の工事現場に配置される技術者で、施工の管理、安全・品質の確保といった、契約後の現場運営を支える役割を担います。主任技術者は工事ごとに選任され、工事期間中は基本的に現場に常駐して業務にあたる必要があります。

【令和6年改正】専任技術者は常駐義務あり?主任技術者との兼務は可能?

専任技術者が行う請負契約の適正な締結や見積書の作成等の作業は、基本的に営業所で行われるため、建設業法第7条第2号、同法第15条第2号において、営業所に常駐することが義務付けられています。そのため、専任技術者は現場に配置される主任技術者や監理技術者と原則として兼務することはできません

しかし、令和6年12月の建設業法改正により、一定の要件を満たす場合に限り、専任技術者が現場の監理技術者等を兼務することが認められる特例措置が導入されました。

これは、情報通信機器の活用などにより生産性向上と柔軟な働き方を促進する目的で設けられた制度です。
(営業所技術者等に関する主任技術者又は監理技術者の職務の特例)
第二十六条の五 建設業者は、第二十六条第三項本文に規定する建設工事が次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、第七条(第二号に係る部分に限る。)又は第十五条(第二号に係る部分に限る。)及び同項本文の規定にかかわらず、その営業所の営業所技術者又は特定営業所技術者について、営業所技術者にあつては第二十六条第一項の規定により当該工事現場に置かなければならない主任技術者の職務を、特定営業所技術者にあつては当該主任技術者又は同条第二項の規定により当該工事現場に置かなければならない監理技術者の職務を兼ねて行わせることができる。
引用:建設業法第26条の5
専任技術者が兼務できるパターン
  • 請負金額:1億円(建築一式工事の場合は 2億円)未満
  • 兼任現場数:1工事現場
  • 営業所と工事現場の距離:1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内
  • 下請次数:3次まで
  • 連絡員の配置:監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者の配置
  • 施工体制を確認できる情報通信技術の措置
  • 人員の配置を示す計画書の作成、保存等
  • 現場状況を確認するための情報通信機器の設置
この制度により、特に人材確保が難しい中小建設業者にとっては兼務の選択肢が現実的になりました。
ただし、兼務には細かい運用ルールや確認事項があるため、詳細は国土交通省が公表する「監理技術者制度運用マニュアル」などを必ず確認するようにしましょう。

専任技術者が退職した場合

専任技術者が退職し他の専任技術者もいない場合、建設業許可を維持するには、不在期間がないように代わりの人を配置する必要があります。専任技術者になるには一定の資格や経験が必要なので、計画的に配置計画を立てなければなりません。

専任技術者になるには?

専任技術者の要件は、特定建設業と一般建設業で異なります。
特定建設業の営業所専任技術者は監理技術者の要件と同等の経験が必要で、一般建設業の営業所専任技術者は主任技術者と同等の経験が必要です。(※参考:『国土交通省』技術者制度の概要
事務員たなか

主任技術者の要件をクリアしている方は、一般建設業の専任技術者になれる。監理技術者の要件をクリアしている方は、特定建設業の専任技術者になれる。といった塩梅です。

あわせて確認

一般建設業の専任技術者になれる人は?

では、一般建設業の専任技術者になるための具体的な要件を確認していきましょう。
主任技術者になるために必要な要件
  • 特定の国家資格を保有する
  • 一定期間の実務経験がある

特定の国家資格を保有する

特定の国家資格を取得することで、一般建設業の専任技術者になることができます。
特定建設業の専任技術者に比べて目指せる資格の種類が多く、2級も対象となっているので比較的チャレンジしやすいのではないでしょうか。

「1・2級建設機械施工技士」「1・2級土木施工管理技士」「第1・2種電気工事士」といった資格が対象となっているので、詳しくは国土交通省の「建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧」を参照してください。

一定期間の実務経験がある

一定期間以上の実務経験がある場合も一般建設業の専任技術者になることが可能です。必要となる実務経験の年数は、学歴によって異なるので注意してください。
学歴または資格必要な実務経験年数
大学・短期大学・高等専門学校・専門学校(専門士又は高度専門士)の指定学科卒業後3年以上
高等学校・専門学校の指定学科卒業後5年以上
上記以外卒業後10年以上

令和5年7月1日より要件が緩和されました

今までは指定学科を卒業していない場合、実務経験が10年以上必要でした。しかし、令和5年7月1日より要件が一部緩和されています。指定学科を卒業しなくとも、特定の施工管理技士試験に合格者である場合、指定学科を卒業した者と同様に、施工管理技士試験合格+実務経験によって専任技術者の要件を満たすことになりました。
技術検定種目同等とみなす指定学科         
土木・造園工事施工管理技士土木工学
建築施工管理技士建築学
管工事工管理技士機械工学
電気工事施工管理技士電気工学
これらの施工管理技士の試験に合格すると、一級合格者の場合:合格後実務経験3年以上、二級合格者の場合:合格後実務経験5年以上で一般建設業の専任技術者の要件を満たすことになります。
事務員たなか (ゲンドウ風)

大分短縮されますね!
それだけ技術者が少ないということなのでしょうか。

学歴または資格必要な実務経験年数
一級1次検定合格合格後3年以上
二級1次検定合格合格後5年以上

特定建設業の営業所専任技術者になれる人は?

特定建設業の営業所専任技術者になるために必要な要件
  • 特定の国家資格を保有する
  • 一定期間の実務経験+指導監督的実務経験がある
  • 大臣特別認定者である

特定の国家資格を保有する

許可を受けようとする建設業の種類で定められた国家資格を持っていることが要件となっています。1級国家資格や技術士等、一般建設業の専任技術者要件よりも難易度の高い資格が必要になってきます。
指定建設業7業種の資格要件
  • 土木工事業  :1級土木施工管理技士、一級建設機械施工技士、技術士(建設・総合技術監理)他
  • 建築工事業  :1級建築施工管理技士、1級建築士
  • 電気工事業  :1級電気工事施工管理技士、技術士(建設・総合技術監理)他
  • 管工事業   :1級管工事施工管理技士、技術士(上下水道・総合技術監理)他
  • 鋼構造物工事業:1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、1級建築士他
  • 舗装工事業  :1級建設機械施工技士、1級土木施工管理技士、技術士(建設・総合技術監理)他
  • 造園工事業  :1級造園施工管理技士、技術士(建設・総合技術監理)他

一定期間の実務経験+指導監督的実務経験がある

一般建設業の専任技術者要件を満たしている者で、かつ指導監督的実務経験がある場合も特定建設業の専任技術者になることができます。

学歴または資格
必要な実務経験年数
実務経験指導監督的実務経験
大学・短期大学・高等専門学校・専門学校(専門士又は高度専門士)の
指定学科
卒業後
3年以上
2年以上
高等学校・専門学校の指定学科卒業後
5年以上
2年以上
上記以外卒業後
3年以上
2年以上
指導監督的実務経験とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験のことをいいます。下記の要件を満たす必要があるので、監理技術者になるにはとてもハードルが高いことが分かります。
指導監督的実務経験の要件
  1. 元請工事である
  2. 1件の工事が請負代金 4,500 万円以上である
  3. 申請業種で請け負っている工事である
  4. 工事の技術面を総合的に指導監督した経験である
事務員たなか

弊社のような中小企業では、
実務経験から特定建設業の営業所専任技術者になるのは難しいっちゅうことです。

また、これらの経験をしたという証拠書類の提出も必要です。特に「指導監督的実務経験」には、現場監督や主任技術者など、工事全体の技術面を総合的に指導監督する立場であると確認できることが必要ですので注意してください。

大臣特別認定者である

指定建設業7業種(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)に関して、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格した者若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した人も対象になります。指定建設業7業種の場合、上記で記述した実務経験で専任技術者になることはできません。国家資格を取得するか大臣特別認定者かのいずれかでのみ技術者になることができるので、注意が必要です。

尚、特別認定講習は指定建設業制度が導入された際に行われたものであり、現在は実施していません。

総括:建設業の専任技術者とは?主任技術者との違いや兼務・要件緩和をわかりやすく解説

いかがでしたでしょうか?
建設業許可を取るために必要な専任技術者ですが、誰でもなれるというわけではありません。建設業許可の取得を考えている場合は、計画的な人員確保や育成を行う必要があるでしょう。

また、企業から専任技術者証明書の提出を求められるケースが稀にあります。「専任技術者証明書」はどういうものでどこに保管されているのかを頭の片隅に置いておくと、いざ必要になった際に役立つと思います。

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