「一人親方でも施工体制台帳を出さないといけないの?」
「社会保険に加入していないけど現場に入って大丈夫?」
近年、建設現場での安全管理やコンプライアンスが厳格化するなか、一人親方として働く方に対しても、施工体制台帳の提出や社会保険の加入状況が問われるケースが増えています。特に「社会保険適用除外」に該当する場合でも、元請や現場のルールによっては思わぬ対応を求められることも。
本記事では、一人親方と施工体制台帳の関係、社会保険適用除外の扱い、現場での実際の対応例をわかりやすく解説します。
記事のポイント
- 施工体制台帳とは
- 一人親方も施工体制台帳を作成するか
- 適用除外でOK?一人親方の健康保険等の加入状況記載方法
- 一人親方は主任技術者の配置が必要?
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次
一人親方と施工体制台帳の関係

- 施工体制台帳とは
- 一人親方は施工体制台帳を作成する必要があるのか
- 一人親方が施工体制台帳に関与するケースとは
- 施工体制台帳の添付書類と作成時の注意点
- 社会保険は適用除外でもOK?書き方と注意点
- 主任技術者の設置要否と一人親方の対応
施工体制台帳とは?まずは基本を押さえよう

施工体制台帳とは、工事に関わる業者の名称、施工範囲、工期、技術者の氏名などを記載し、現場の施工体制を適切に管理するために元請業者が作成する書類です。施工品質の確保や施工上のトラブル防止、不適格業者の排除、重層下請けの抑制などを目的とし、施工体系図と併せて作成されることで、工事関係者全員が施工体制を把握しやすくなります。
施工体制台帳の作成義務は、一定の条件を満たした工事に適用されます。
公共工事では、発注者から直接請け負った元請業者が下請負契約を締結した場合。民間工事の場合、特定建設業者が下請契約を締結し、その下請負代金の総額が5,000万円(建築一式工事の場合8,000万円)以上となると作成が義務付けられます。
※建設業法改訂により、令和7年2月1日、4,500万円(7,000万円)から引き上げられました。
施工体制台帳について詳しくはコチラ!
令和7年2月の法改正について詳しくはコチラ!
一人親方は施工体制台帳を作成する必要があるのか
一人親方の場合、基本的に施工体制台帳を作成することはありません。これは、一人親方が単独で大規模な工事を請け負うケースが少ないためです。建設業法では、建設業許可を受けていない事業者が1件あたり500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の工事を請け負うことができないと定められており、多くの一人親方はこの範囲内での下請契約を結び、小規模な工事を請け負う形になるのが一般的です。一人親方で建設業許可を取得し、500万円以上の工事を請け負う場合もありますが、施工体制台帳作成義務にあたる下請負代金の総額が5,000万円を満たす工事を受注するケースは少ないでしょう。

そのため、施工体制台帳は大手の元請業者が作成するのが一般的であり、一人親方はその記載に必要な情報を提供する立場となることがほとんどです。求められた書類や情報を適切に提出し、スムーズな工事の進行に協力することが求められます。
一人親方が施工体制台帳に関与するケースとは
一人親方は施工体制台帳を作成する立場ではありませんが、元請業者や一次下請業者から情報提供を求められる場面があります。施工体制台帳の右側「下請負人に関する事項」は、下請け企業の情報を記載するため、事業者名、施工内容、請負金額、社会保険の適用状況、配置技術者などの情報を提供する必要があります。
また、施工体系図には、元請業者を頂点とした下請業者の関係が示されるため、一人親方もその一部として記載されます。施工体制台帳ではなく、再下請負通知書の提出が求められる場合もあり、適切に対応することが重要です。特に、社会保険の適用除外を証明するための一人親方労災保険特別加入証明書などの提出が求められることがあるため、事前に準備しておくことでスムーズな対応が可能になります。
施工体制台帳の添付書類と作成時の注意点
上述した通り施工体制台帳は元請企業が作成するものですが、
下請負企業として、施工体制台帳作成にあたり情報を提供する場合は、下記をご参照ください。
施工体制台帳提出の際に必要な添付書類
- 発注者との契約書の写し
→基本的に施工体制台帳を作成する元請企業が準備する。 - 下請負人が注文者との間で締結した契約書の写し
→基本的に施工体制台帳を作成する元請企業が準備する。 - 配置技術者が資格を有することを証する書類
→監理技術者は元請企業が配置する。 - 監理技術者補佐を置いた場合は、監理技術者補佐資格を有することを証する書面
- 専門技術者等を置いた場合は資格を証明できるものの写し
→国家資格等の技術検定合格証明等の写し。 - 配置技術者等の雇用関係を証明できるものの写し
→健康保険証等の写し。
※参考:建設業法施行規則 第十四条の二

主任技術者の配置は、建設業許可業者に義務付けられているものです。ない場合は配置の必要ありません。



このほか、社会保険や雇用保険加入確認をするために、
社会保険納入通知書等の証明書を提出する場合もあります。
社会保険は適用除外でもOK?書き方と注意点


一人親方は法人企業とは異なり、従業員を雇用しない個人事業主であるため、社会保険や雇用保険の書き方が異なります。
健康保険・厚生年金保険は、一人親方や常時雇用の従業員が5人未満の個人事業主は適用除外となり、国民健康保険や建設国保に加入することが一般的です。
雇用保険については、被保険者となる労働者がいない為適用除外となります。現場作業中の事故に備えるには「一人親方特別加入制度」に加入する必要があります。この制度に加入することで、労災保険の適用を受けることが可能となり、安心です。工事現場において求められる書類の一つとなることが多いので忘れずにい添付しましょう。
主任技術者の設置要否と一人親方の対応
主任技術者は、工事現場における施工管理の責任者として、工事の品質や安全を確保する役割を担います。主任技術者になるには、担当する工種に応じた上級資格を持っているか、一定期間以上の実務経験を積むなどの要件を満たす必要があります。
建設業法では、建設業の許可を受けた業者は、請負金額の大小に関わらず、すべての工事現場に主任技術者を配置する義務があります。
一方で、建設業の許可を受けていない多くの一人親方の場合、主任技術者の配置義務はありません。施工体制台帳には、主任技術者の氏名を記入する欄がありますが、空白で問題ないでしょう。
総括:施工体制台帳は一人親方でも必要?社会保険適用除外でも現場に入れるのか徹底解説!
施工体制台帳は元請業者が作成するものであり、一人親方が直接作成することはありません。しかし、下請負人として記載されるため、契約内容や社会保険の適用除外の証明などの情報を提供する必要があります。特に、労災保険の特別加入証明書や請負契約書の提出が求められることが多いため、事前の準備が重要です。
一人親方は、施工体制台帳の適用除外となる社会保険・雇用保険の仕組みを理解し、現場でスムーズに対応できるよう備えておきましょう。
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