【2025年最新】熱中症予防管理者の選任は義務?現場で押さえるべき対応ポイント

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年々厳しさを増す夏の暑さにより、現場での熱中症リスクはますます深刻化しています。こうした状況のなか、企業や現場ごとにどのような対策を講じるかが重要な課題となっています。特に令和7年6月1日からは、一定の条件下で作業を行う場合に熱中症対策が義務化されるなど、熱中症対策はもはや“努力目標”では済まされない時代に突入しました。

そのような背景から、現場の安全管理体制の中で注目されているのが「熱中症対策管理者(熱中症予防管理者)」の存在です。

本記事では、この管理者が果たすべき役割や選任のポイント、選任義務について詳しく解説していきます。
記事のポイント
  • 熱中症予防管理者とは
  • 熱中症予防管理者の選任義務
  • どんな人がなれる?
  • 熱中症予防管理者の業務内容
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)


建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次

熱中症予防管理者の選任は義務?

  1. 熱中症予防管理者とは?現場で求められる役割
  2. 熱中症予防管理者の選任は義務?
  3. 誰がなれる?選任要件と資格の有無
  4. どこで学べる?講習や研修の内容とポイント
  5. 選任と実践を両立させるポイント

熱中症予防管理者とは?現場で求められる役割

建設業や屋外作業など、厳しい環境下での作業が伴う現場では、熱中症への備えが欠かせません。そこで注目されているのが、「熱中症予防管理者」の存在です。熱中症予防管理者とは、現場の実情に応じた熱中症対策を主導し、安全な作業環境を維持するための中心的な役割を担う人物を指します。

厚生労働省が公開している「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」などの資料では、教育を受けたうえで熱中症に関する知識を持つ者を、現場の中心に配置するよう推奨しています。

熱中症予防管理者の主な業務・役割は、気温・湿度・WBGT(暑さ指数)の確認に加え、着衣補正値を考慮した基準値の判断を行い、作業環境に応じた対応を行うことです。さらに、暑熱順化が不十分な作業員への配慮、作業時間や配置の調整、体調チェックや初期対応の体制整備、朝礼での健康確認や安全教育の実施など、現場全体の熱中症リスクを管理する役割を担います。
熱中症予防管理者の主な役割
  • 気温・湿度・WBGT(暑さ指数)の確認と、着衣補正値を含めた基準値の判断
  • 暑熱順化が進んでいない作業員への配慮と、作業配置・時間の調整
  • 巡視による体調チェックや、熱中症の初期症状の早期発見・初動対応体制の整備
  • 作業時間の短縮、水分・塩分の補給促進、適切な休憩の確保
  • 作業前の朝礼やミーティングでの体調確認、安全教育・手順の周知
  • 環境条件や対応状況の記録・評価と、関係者間での情報共有
  • 退勤後の体調悪化リスクについての注意喚起
このように、熱中症予防管理者は単なる「呼びかけ係」ではありません。現場の環境、作業者の状態、気象状況などを総合的に見渡し、予防から対応までをマネジメントする重要な存在です。

法令上の配置義務は明文化されていないものの、厚生労働省が明確にその必要性を示していることから、今後の熱中症対策において欠かせない役割といえるでしょう。

熱中症予防管理者の選任は義務?

「熱中症予防管理者の選任は義務ですか?」という質問は多くの現場から寄せられます。結論から言えば、現時点では法令による明確な義務ではありません。しかし、厚生労働省が示しているガイドラインでは、その必要性が強く打ち出されています

2025年(令和7年)6月1日から施行される熱中症対策の制度強化により、WBGT(暑さ指数)28℃以上、または気温31℃以上の環境で一定時間以上作業を行う場合、事業者は熱中症に関する報告体制や初期対応の体制整備を“罰則付き”で義務化されました。

 熱中症対策の義務化について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

 熱中症対策で使えるフリーのイラストはこちらの記事にまとめました。ご自由にお使いください!

このような背景の中で、各現場に熱中症対策の中心的な役割を担う人材――つまり「熱中症予防管理者」の選任が強く求められているのです。厚生労働省の資料にも、「教育を受けた者を配置し、対策を現場に応じて具体化することが望ましい」という記述が示されています。

法的な義務ではないものの、熱中症に対する社会的な関心や安全配慮の重要性を受けて、管理体制の一環として選任を検討する動きが広がっているといえるでしょう。

実際の現場では、職長や現場代理人といった、日々作業を指揮・監督している立場の人がこの役割を担うケースも少なくありません。作業員との距離が近く、現場の状況を把握しやすい立場であるからこそ、適切な声かけや判断が期待できるのです。

ただし、選任にあたっては、熱中症に関する基本的な知識をあらかじめ学んでおくことが望ましく、厚生労働省のガイドラインでもそのような教育を受けた人材の選任が推奨されています。知識や意識が備わっていることで、実際の対策や初期対応にも確実性が増します。

義務かどうかという点だけで判断するのではなく、現場の安心・安全を守るために誰が最適かを見極めたうえで、必要に応じて教育を受けた人を責任ある立場に選ぶことが大切です。
※参考:厚生労働省「令和 7 年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱」

誰がなれる?選任要件と資格の有無

熱中症予防管理者は、法律で細かく定められた資格が必要な役職ではありません。そのため、国家資格や登録制度のような「免許」は求められておらず、比較的柔軟に人選ができるのが特徴です。

一方で、厚生労働省が示す方針では、「熱中症に関する教育・研修を受けた者」「十分な知識を有する者」から選任することが望ましいとされています。つまり、特定の資格はなくとも、必要な知識や意識を身につけていることが重要です。

現場でよく選任されるのは、次のような立場の人です:
  • 現場代理人や職長など、日々作業員を管理・指導する立場の人
  • 衛生管理者、安全衛生推進者など、安全衛生に関する役割を担っている人
  • 過去に熱中症関連の講習を受講した経験のある人
現場で作業を管理する者等、衛生管理者、安全衛生推進者等以外の者に熱中症予防対策を行わせる場合は、上記カの教育研修を受けた者等熱中症について十分な知識を有する者のうちから、熱中症予防管理者を選任し、同管理者に対し、(2)のクに掲げる業務について教育を行う。

※ここでいう「上記カの教育研修」とは、厚生労働省や環境省が提供する教材や動画コンテンツを使った学習を指します。
引用:厚生労働省「令和 7 年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱」
必ずしも「新たに誰かを雇う」必要はなく、既存のスタッフの中から適任者を選び、必要に応じて教育を受けさせるという形で問題ありません。特に、現場の流れや人員構成を理解している人物が担うことで、より実効性のある対策につながります。

また、外部機関による熱中症対策の研修や、産業医・労働基準協会などが開催する講習も多数あります。短時間で受講できるものもあり、初めての方でも導入しやすい環境が整っています。

どこで学べる?講習や研修の内容とポイント

熱中症予防管理者を選任するうえで重要なのが、必要な知識や判断力をあらかじめ身につけておくことです。とはいえ、特別な国家資格が必要なわけではなく、厚生労働省や関係団体が提供する教材や講習を活用することで、実務に役立つ知識を効率よく学ぶことができます。

教育用教材としては、厚労省が運営するポータルサイト「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!」に掲載された動画コンテンツや、「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」、リーフレット形式のチェックリストなどが代表的です。環境省が提供する「熱中症予防カード」なども、現場での注意喚起や教育に活用されています。
また、自社での教育が難しい場合は、労働基準協会や業界団体などが主催する外部講習を活用する方法も有効です。たとえば、厚生労働省の教育実施要領に基づいた「熱中症予防管理者教育」では、学科3.5時間+演習1.5時間のカリキュラムを通じて、以下の内容を実践的に学ぶことができます。
熱中症予防管理者教育の内容
  • 熱中症の症状と予防方法
  • 緊急時の応急処置
  • 実際の事例紹介
  • 令和7年改正の労働安全衛生規則に準拠した対策演習
受講料は15,000円(税込16,500円)で、すべてのカリキュラムを修了したことを証明する修了証も当日交付されます。こうした研修を受けたうえで管理者を選任しておけば、社内記録としても活用でき、対外的な信頼性も高まります。

形式よりも実効性が求められる今、こうした教育の機会を通じて「現場で判断し行動できる力」を備えることが、熱中症予防管理者としての大きな意味を持ちます。

選任と実践を両立させるポイント

熱中症予防管理者を選任したあとは、現場でその役割が日常的に機能することが大切です。厚生労働省は、管理者が担うべき業務として、WBGT値の測定や評価、暑熱順化の確認、体調チェック、初期対応手順の周知などを挙げています。

たとえば、毎朝WBGTを測定し、数値に応じて休憩の取り方を調整する。朝礼では体調や暑熱順化の状況を確認し、必要に応じて作業を軽減する。日中は現場を巡視し、水分や塩分の補給状況を把握する。これらはすべて、特別な仕組みがなくても今日からできる実践です。

また、異変があったときの対応手順を事前に共有しておくことや、退勤時の声かけも管理者の大切な役割です。小さな気づきの積み重ねが、現場の安全と安心につながります。

総括:【2025年最新】熱中症予防管理者の選任は義務?現場で押さえるべき対応ポイント

現場での熱中症対策が重要視される今、熱中症予防管理者の役割が改めて注目されています。法令で明確に義務づけられているわけではありませんが、厚生労働省の方針では、必要な知識を持つ人を管理的立場として選び、現場に配置することが強く推奨されています。

実際には、職長や現場代理人などがこの役割を担うケースも多く、適切な講習や教育を受けたうえでの選任が望ましいとされています。暑さ指数の把握、体調チェック、初期対応などを日常業務に組み込むことで、管理者としての責務が果たされていきます。

義務かどうかだけにとらわれず、安全で信頼される現場づくりの一環として、誰を管理者に選ぶのか、どう運用していくのかを見直すことが、これからの熱中症対策に欠かせない視点となるでしょう。

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