建設現場のデジタル化が進む中で、「電子小黒板」の導入が急速に広がっています。タブレットやスマートフォンを使って黒板情報を表示・撮影し、そのままデジタルデータとして管理できるため、業務の効率化や証拠管理の強化に役立つツールとして注目されています。
そんな中でよくあるのが、
「電子小黒板って、後から黒板情報を入れてもいいの?」
「撮影後に後付けすると違反になるのでは?」
といった疑問です。現場でうっかり撮影時に黒板を表示し忘れてしまった場合、後付けで対応できるのかどうかは気になるポイントでしょう。
本記事では、電子小黒板の基本と運用ルールの違いを解説した上で、「後付け」が許容されるのか、違反になるケースや正しい対応方法についてわかりやすく整理してお伝えします。
記事のポイント
- 電子小黒板とは
- 電子小黒板は後付けできるか
- 電子小黒板のデータ改ざんは違法か
- 電子小黒板は後付け方法
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次
電子小黒板は後付けでも使える?

- 電子小黒板とは
- 電子小黒板と従来の工事黒板の違いとは?
- 電子小黒板の後付けは可能?
- 後付けは改ざんとみなされる?電子小黒板の注意点
- 後付け対応の方法は?やむを得ない場合の社内対処例
電子小黒板とは
電子小黒板とは、工事写真の黒板情報をデジタル化して表示するシステムのことを指します。従来の手書き黒板では、撮影のたびに書き直す必要がありましたが、電子小黒板ならテキスト入力やテンプレート機能を活用することで、簡単に黒板情報を更新できます。
また、タブレットやスマートフォンの画面上に黒板情報を表示し、そのまま撮影する仕組みのため、物理的な黒板を用意する手間が省け、作業効率が向上するのも大きなメリットです。撮影された写真はデータベースに自動で整理され、電子納品基準にも適合する形式で保存できるケースが多いです。
電子小黒板と従来の工事黒板の違いとは?

従来の工事黒板と電子小黒板の大きな違いは、黒板情報の管理方法にあります。
手書きの工事黒板は、チョークやマーカーで情報を記載し、それを写真に収める方法でした。そのため、撮影のたびに黒板を持ち運ぶ必要があり、書き直しや設置の手間がかかるという課題がありました。また、状況によっては一人が黒板を持ち、もう一人が撮影するといった二人一組での作業が必要になることもあり、人手が足りなくなるケースもあります。
一方、電子小黒板では、黒板情報をデジタル表示し、タブレットやスマートフォンの画面に直接反映できます。そのため、黒板を持ち運ぶ必要がなく、撮影者ひとりで完結する作業なので、現場での作業がスムーズになるのが特徴です。また、データはシステム上で管理されるため、写真の整理や検索も簡単になり、施工管理の効率が向上します。
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電子小黒板の後付けは可能?

電子小黒板の導入が進む中で、「後から黒板情報を追加することはできるのか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。結論を言うと、電子小黒板の後付けは基本的にできません。
電子小黒板は、撮影時に黒板情報をデジタル表示し、それをそのまま記録する仕組みであり、後からデータを追加・編集できる仕様にはなっていません。仮に画像編集ソフトを使用して黒板情報を追加した場合、撮影時点の情報が正しいものなのか判断できなくなるため、データ改ざんのリスクが生じます。
国土交通省は、工事写真の信憑性を確保し、業務効率化を図るため、デジタル工事写真の小黒板情報電子化に関する通知を出しています。
受注者は、適切な機器やソフトウェアを選定し、信憑性確認(改ざん検知機能)を備えたものを使用する必要があり、また、工事写真の納品時には、電子小黒板が改ざんされていないことを証明するための信憑性確認(改ざん検知機能)を行うことが求められています。
特に公共工事においては、工事写真の改ざん防止が厳しく求められており、後から黒板情報を追加することはできません。そのため、電子納品や工事写真の正式な記録としては、撮影時に黒板情報が表示されている写真しか認められないのが一般的です。
※参考:国土交通省「デジタル工事写真の小黒板情報電子化について」
後付けは改ざんとみなされる?電子小黒板の注意点
電子小黒板が導入された背景には、工事写真の透明性を確保する目的があります。従来の手書き黒板では、撮影後に編集されるリスクが少なかったため、証拠としての信頼性が高いものでした。
しかし、デジタル化が進むにつれて、画像編集ソフトやアプリを使って簡単に修正できる環境が整ってしまいました。そのため、電子小黒板では「撮影時点で正しい情報が記録されていること」が求められ、後付けや修正ができない仕様になっています。
もし撮影後に黒板情報を変更できるようになると、写真の証拠能力が低下し、発注者や管理者の信頼を損なう恐れがあります。そのため、電子小黒板の運用ルールでは、後付けによる編集が認められていません。
実際に、2005年(平成17年)には、施工業者が工事成績評定を上げる目的で橋梁工事の写真を加工した改ざん事例が発覚しています。この業者は、コンクリート表面の仕上がりを修正し、実際よりも品質が良いように見せかけていました。しかし、この不正が発覚し、行政指導を受けています。
このように、工事写真のデータを修正する行為は厳しく罰せられるため、正しい運用を徹底することが重要です。
後付け対応の方法は?やむを得ない場合の社内対処例

上述のとおり、工事写真のデータ改ざんは絶対に行ってはいけません。また、改ざんチェックツールを使用すれば、不正な編集は発覚してしまいます。しかし、写真の整理を目的として、後付けで黒板情報を追加したいと考える方もいるかもしれません。
そこで、あくまで社内での整理用として活用できる方法として、最も初歩的なWindows標準の「ペイント」を使用した後付け方法をご紹介します。
STEP
電子黒板ファイルをダウンロード
基本的な電子黒板画像を作成しました。下記からご自由にダウンロードし、ご使用ください。
STEP
ダウンロードした画像を「ペイント」で開く

ダウロードした画像を「ペイント」で開きます。
画像を右クリック→「プログラムから開く」にカーソルを合わせる→「ペイント」をクリックで、ペイントソフトで電子小黒板の画像ファイルが開けます。
STEP
黒板画像の編集

工事件名・工事場所・日時・施工状況・施工者等の情報を入力します
まずは、文字入力モードの設定を変更します。
フォントボタン「A」をクリック→文字サイズを「48」に変更→文字色を「白」に変更します。
文字サイズや文字色は、お好みで変更してください。

黒板画像の上でクリックすると点線の枠が表示されるので、文字入力していきます。
点線の枠は、移動可能ですので調整してください。
(十字矢印のカーソルが表示されているときに、左クリックをおしながら移動先へドラッグする。)


これで黒板の画像編集は完了です。
こちらの画像は念のため、保存しておきましょう。
STEP
工事写真に黒板画像を挿入する


黒板を挿入する工事写真も、STEP2と同じ要領で「ペイント」で開きます。黒板画像を開いているペイントと、工事写真を開いているペイント2画面が立ち上がっているイメージです。


黒板画像の方で、左上の四角点線ボタン(選択ボタン)をクリック→黒板画像をドラッグで全選択→「Ctrl+C」を押して選択範囲をコピーします。


工事写真の方で「Ctrl+V」を押し、黒板を貼り付けます。


黒板の大きさや位置を修正したら、完成です。



もちろん、エクセルや画像編集ソフトで黒板を編集することも可能ですが、ほとんどの方のPCに入っている「ペイント」でのやり方を紹介しました。
総括:電子小黒板は後付けでも使える?違反になるケースと正しい撮影ルールを解説
電子小黒板は、工事写真の透明性を確保し、作業効率を向上させるために導入された便利なツールです。撮影時に黒板情報をデジタル表示し、そのまま記録する仕組みのため、後付け編集は認められていません。
写真整理の目的で黒板情報を追加することはできますが、正式な工事記録としては認められないため注意してください。
電子小黒板を正しく運用するためには、撮影時に正確な情報を記録し、後から修正する必要がないよう徹底することが重要です。
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