2025年(令和7年)から、建設業をはじめとした多くの業種で、熱中症対策に関する事業者の責任が強化されます。特に夏季の屋外作業では、熱中症患者を出さないために、WBGT値の把握や作業員への教育、安全配慮措置などが重要となります。
「何から始めればいいのか分からない」「手順書を作れと言われたけど見本がない」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、厚生労働省の最新ガイドラインに沿った、熱中症対策の手順書テンプレート(無料)を配布します。あわせて、リーフレットやポスターなど、現場で使える公式資料もまとめて紹介します。

ぜひ、ご活用ください。
記事のポイント
- 熱中症対策が義務化される条件と内容
- 現場で使える対応フローテンプレートが無料で手に入る配布
- 実際に現場で行うべき熱中症対策のポイント
この記事を書いた人


事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次
令和7年から義務化される熱中症対策とは?


- 令和7年から義務化される熱中症対策とは?
- 熱中症対策手順書テンプレート【自社用に編集して使える雛形】
- 現場で役立つ!熱中症対策の実践ポイント
令和7年から義務化される熱中症対策とは?


2025年(令和7年)4月から、暑さ指数(WBGT)や気温が一定基準を超える環境下において、事業者による熱中症対策が法的に義務化されます。これにより、これまで「努力義務」とされてきた対応が、明確に義務として位置づけられることになりました。
対象となる作業とは?
今回の義務化の対象となるのは、以下のような作業です。
対象となる作業
WBGT28℃以上又は気温31℃以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業
建設業や製造業などの屋外・高温環境下での作業が該当するケースが多く、特に夏季の現場では日常的にこの基準を超えることが予想されます。
WBGT値など熱中症について詳しく知りたい方はコチラ!
義務となる主な対策内容【3つの柱】
令和7年の制度改正では、暑さ指数28℃以上または気温31℃以上の環境下で作業を行う場合、以下の3つの対策が事業者に義務付けられます。
- 報告体制の整備
作業中に熱中症の自覚症状がある者やそれを発見した者が、すぐに対応者へ連絡・報告できるような体制の構築が求められます。
例:連絡ルールの明示、誰にどう報告するかを掲示やミーティングで共有 - 緊急時の対応手順の作成
熱中症が疑われる事態が発生した際に、迅速かつ的確に対処するための手順書を整備する必要があります。
例:緊急連絡網の整備・医療機関や搬送先の情報・応急処置と搬送判断 - 関係者への周知
①と②の内容は作業員・協力会社を含む関係者全員に周知することが義務です。
手順書が整備されていても、周知が不十分であれば「未対応」と見なされる可能性があります。
例:朝礼での周知、掲示、紙での配布、eラーニングなど
(熱中症を生ずるおそれのある作業)引用:労働安全衛生規則 第612条の2(労働安全衛生規則の一部を改正する省令)
第612条の2 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者に熱中症が生じた疑いがあることを当該作業に従事する他の者が発見した場合にその旨の報告をさせる体制を整備し、当該作業に従事する者に対し、当該体制を周知させなければならない。
2 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を定め、当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその実施に関する手順を周知させなければならない。
違反するとどうなる?
この義務は労働安全衛生法に基づく実施事項であり、違反が認められた場合には、労働基準監督署による指導や是正勧告の対象となる可能性があります。
また、万が一労災が発生した場合、事業者の対応不備として責任を問われるリスクも高まります。
熱中症対策手順書テンプレート【自社用に編集して使える雛形】


2025年から義務化される熱中症対策に対応するための、ひな形形式の手順書テンプレート(Excel)を無料配布します。事業所ごとに連絡体制や医療機関名、周知方法などを追記・修正してお使いください。
手順書の中では、熱中症の疑いがある作業者を発見した際の初動対応から、応急処置、病院搬送の判断までの一連の対応フローを整理しています。



自由にカスタマイズしてお使いください!
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厚生労働省や環境省が出しているガイドライン・リーフレット一覧


熱中症対策を現場で徹底するには、わかりやすい資料やポスターを活用することが効果的です。特に作業員向けには、文章だけでなく視覚的に伝える工夫が重要です。
厚生労働省や環境省では、無料で使える以下のようなリーフレット・ポスターを公開しています。手順書と併用することで、より実践的な対策につながります。
さらに環境省では、「熱中症警戒アラート」や、より危険な暑さが予想される際に発信される「熱中症特別警戒アラート」を運用しています。作業計画の見直しや休憩の強化など、現場の判断材料として活用できますので、ぜひ一度ご覧ください。
現場で役立つ!熱中症対策の実践ポイント
熱中症対策は、書類を整えるだけではなく、現場で実際に機能することが何より大切です。
以下は、現場での取り組みに役立つ実践的な対策や声掛けの例です。



会社の方針や現場環境に応じて、柔軟に取り入れてください。
現場で役立つ!熱中症対策の実践ポイント
- 従来の熱中症対策の継続
例年通りの対策(帽子着用、こまめな休憩など)を継続して実施。 - WBGT値(暑さ指数)の活用
暑さを数値で把握し、リスク判断の材料として活用。 - 暑熱順化期間の確保
新規入場者や長期休暇明けの作業員には「慣らし期間」を意識。 - 日頃の体調管理の呼びかけ
・十分な睡眠
・深酒の回避
・朝食の摂取など、生活習慣の注意喚起 - 作業前の体調確認
朝礼やミーティング時に「気分が悪くないか」を確認。 - 休憩時間の確保
最低1時間に1回の休憩を目安に。水分・塩分補給も忘れずに。 - 熱中症対策用品の活用
空調服、防暑タレ、冷却グッズなどの使用を推奨。 - 熱中症警戒アラートへの対応
アラート発信時は、作業時間の短縮や休憩の強化など、通常より積極的な対応を行う。 - リーダー層への応急対応トレーニング
現場責任者や職長が熱中症の初期症状に即対応できるよう簡易教育を実施。 - 簡易冷却ステーションの設置
現場の一角にポータブル冷風機・氷・経口補水液を常備した休憩専用の簡易テントや車両を確保。 - 健康状態の申告カード(朝礼時使用)
作業員自身が「体調よし/やや不調」などをシールや色札で申告する簡易カードを導入。
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総括:【無料配布】熱中症対応の現場フローテンプレート|2025年の義務化ポイントも解説
2025年からの制度改正により、WBGT(暑さ指数)28℃以上または気温31℃以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超える作業を行う場合、事業者には熱中症対策の実施が義務付けられました。
中でも重要なのは、熱中症の疑いがある作業者をすぐに報告できる体制を整え、その対応手順をあらかじめ作成し、関係するすべての作業者へ周知しておくことです。これらは単なる書類上の対応ではなく、実際の現場で機能してこそ意味があります。
本記事では、厚労省の方針に基づいた手順書テンプレートや、ポスター・リーフレット等の補助資料も紹介しました。安全管理は、備えた分だけ守れるもの。現場の一人ひとりが理解し、動ける体制づくりを進めましょう。
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