建退共証紙を買取に出すのは違法?金券ショップでの買取相場や払い戻し方法まで解説!

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建設業で働く方にとって、建退共(建設業退職金共済)の「共済証紙」はおなじみの存在。しかし、現場の終了や退職者の移動、計算ミスなどで証紙が余ってしまうケースも少なくありません。

「この証紙、どこかで買い取ってもらえるのでは?」
「金券ショップに持って行っていいの?」

そんな疑問を持ったことはありませんか?

この記事では、建退共の証紙が余った場合の【買取・払い戻し】の実情や、【金券ショップでの扱い】など、現場目線でわかりやすく解説します。建設業で働く事務員さん・経理担当者さん・証紙をもらう作業員の皆さんはぜひご活用ください。
記事のポイント
  • 建設業退職金共済とは
  • 建退共証紙の余りはどうする?
  • 買取してもらえる?
  • 金券ショップで購入するのは違法なのか
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)


建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次

建退共証紙の余りは金券ショップで買取してもらえるか?

  1. 建退共とは?証紙って何のためのもの?
  2. 建退共証紙「余り」が発生したら?
  3. 建退共証紙の買取・払い戻しは可能?
  4. 建退共証紙は金券ショップで売れる?メルカリやヤフオクでも取引されている
  5. 金券ショップやネット取引は違法?制度違反に注意
  6. 建退共証紙はネットで購入できる?

建退共とは?証紙って何のためのもの?

建退共(建設業退職金共済制度)とは、建設業で働く人のために国が設けた退職金制度です。事業主が「共済証紙」を購入し、労働者の就労日ごとに貼付・納付することで、将来の退職金が積み立てられます。

対象となるのは主に建設現場で働く技能労働者で、原則として日額320円(2025年現在)の掛金が証紙によって納付されます。

この制度により、現場や会社が変わっても労働者の就労実績が一元管理され、一定の就労日数(原則12か月)を満たすことで退職金が支給される仕組みとなっています。

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建退共証紙「余り」が発生したら?

建退共制度を利用していると、どうしても「証紙が余ってしまう」という場面に出くわすことがあります。これは事務作業のミスというよりも、制度上避けられない事情によるものも多く、現場ではよくあることです。

たとえば、工事の予定よりも早く完了してしまったり、職人さんが途中で退職・異動したりした場合、それ以降に予定されていた証紙の貼付が不要になります。また、施工日数を見積もって多めに購入した結果、使い切れずに余るというケースもあります。

このように、「証紙余り」は実務上ほぼ避けられない現象とも言えます。ただし、余ったからといってそのまま保管しておくだけではもったいない場合もあるため、正しい対処方法を知っておくことが大切です。

次の見出しでは、余った証紙を「買取してもらえるのか?」という点について解説していきます。

建退共証紙の買取・払い戻しは可能?

「建退共証紙が余ってしまった…買い取ってくれるところはあるの?」「払い戻しは可能?」
そう考える方もいるかもしれませんが、建退共制度では、原則として証紙の買戻し(返金)は行っていません。余った証紙を本部が買い取ってくれる仕組みは基本的に存在せず、また、個人や第三者への譲渡・販売も制度の趣旨に反する行為とされています。

ただし、例外として以下の条件を満たす場合に限り、買戻しが認められることがあります
  • 共済契約が解除された場合
  • 被共済者となるべき者を雇用しなくなった場合
このようなケースでは、共済契約者証や契約解除通知書、未使用の証紙などを揃えて、証紙取扱金融機関に申し出ることで、買戻しの手続きを行うことが可能です(中小企業退職金共済法施行規則第89条第3項に基づく)。

使い切れなかった証紙は他の工事で再利用できる

一方、ただ「余ったから」「使い道がないから」といった理由では、買戻しは認められません。このような場合、建退共の公式サイトでは以下のような制度内での再利用を案内しています。
労働者(被共済者)の就労日数に応じて適正に掛金を納付し、なお共済証紙が余った場合には、他の民間工事に使用することもできます。(公共工事の発注者によっては、未使用の証紙の使用を認めている場合もあります)
引用:建設業退職金共済事業本部「よくある質問」
つまり、正規に購入した証紙は、他の自社工事現場で再利用することが認められており、これは最も現実的で安全な対応策と言えます。

未使用証紙は1日券⇔10日券で交換できる

もうひとつの選択肢として、同色の1日券(320円)⇔10日券(3,200円)の交換が可能です。交換には手数料がかからず、以下の手続きで簡単に行えます。
  • 場所:共済証紙取扱金融機関の窓口
  • 必要なもの:「共済契約者証」
  • 対象:未使用・破損のない証紙
  • 注意:赤⇔青など異なる色の証紙交換は不可
大量に余った1日券を10日券にまとめる、あるいは逆に小分けにしたい場合に有効な方法です。

今後は「電子申請方式」が主流に?

建退共では、従来の紙の共済証紙を使用する方式から、電子的に掛金を納付する「電子申請方式(退職金ポイント方式)」への移行が推奨されています。この方式では、証紙の購入や貼付、保管が不要となり、余剰や紛失のリスクが軽減されるほか、書類の電子化により事務負担も軽減されます。

さらに、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携によって、建退共の手続きはさらに効率化されています。
CCUSに記録されている技能者の就業履歴データを活用することで、建退共への就労実績報告がスムーズに行えるようになり、これまでのような手入力の手間が大幅に省けます。その結果、掛金の納付も正確かつ迅速に処理できるようになるのです。

こうした背景から、今後は電子申請方式が建退共制度の主流となっていくと考えられます。証紙の余りや管理の煩雑さから解放されることを考えても、事業者の皆様には、早めの導入を強くおすすめします。

建退共証紙は金券ショップで売れる?メルカリやヤフオクでも取引されている

出典:Yahoo!オークション公式
建退共の証紙が余った際、「メルカリやヤフオクで売れるのでは?」「金券ショップに持ち込める?」と考えたことのある方もいるかもしれません。実際、ネット上では建退共証紙がフリマサイトやオークションで出品されている事例も確認されており、一部金券ショップでも取り扱いの実例が報告されています。

しかし、ここで注意が必要なのは、これらの取引は制度の想定外であり、非常にリスクが高いという点です。

建退共証紙は、「退職金の掛金を納付した証明書」であり、商品券や切手のように自由に売買できる金券とは性質が異なります。そのため、建退共では第三者への譲渡や転売を制度上認めておらず、あくまで「購入した事業所が自社で使用する」ことが原則です。

また、建退共は偽造証紙の流通に関する公式な注意喚起を行っており、制度外で流通した証紙が不正品である場合、使用しても退職金が支払われない可能性があります。さらに、悪質なケースでは法的責任を問われる可能性すらあります。

実際の取引価格の相場

しかし、「少しでも早くお金に換えられたら…」と考える事業者や職人も少なくないのが実情です。制度上は推奨されないとはいえ、現実にはフリマアプリや一部金券ショップで証紙を現金化しようとする動きが存在します。

そこで参考までに、ネット上や金券ショップなどで確認された建退共証紙のおおよその買取・販売相場を以下にまとめました。
証紙種別額面買取相場販売相場
1日券(赤・320円)320円150~230円245~300円
1日券(旧・310円)310円150~230円240~290円
10日券(赤・3,200円)3,200円2,500~2,800円2,900~3,000円
※価格は非公式取引をもとにした参考値です。時期・地域・在庫状況により変動します。
事務員たなか

額面よりも当然安値で取引されてはいますが、退職金の支給対象となる12か月の就労に満たない人や、すぐに現金化したい事情のある人がこうした取引に踏み切っているケースもあるのかもしれません。

金券ショップやネット取引は違法?制度違反に注意

建退共証紙がネットや金券ショップで出品・販売されている例は実際に見られますが、こうした取引は建退共制度の本来の運用ルールからは逸脱したものであり、非常にリスクが高い行為です。

事実、インターネットや金券ショップで販売された証紙の中から偽造証紙が発見されたという報告もあり、建退共本部は公式に注意喚起を行っています。こうした不正流通の実態を受けて、建設業退職金共済約款も改正され、証紙の取扱いに関する規定がより明確かつ厳格に整備されました。
(証紙の購入等)
第9条 ・・・
5.共済契約者は、金融機関以外から証紙を購入することはできません。
6.共済契約者が前項の規定に違反して証紙を購入した場合においては、証紙受払簿に当該購入を実績として記載することはできません。
7.共済契約者は、規則第98条第1項の届出による元請負人の事務受託に基づく場合を除いて、証紙を譲り渡し、又は譲り受けることはできません
引用:独立行政法人勤労者退職金共済機構建設業退職金共済約款
これらの規定は、「ネットで売っているから使えるのでは?」といった一見取引できそうに見える状況に惑わされないようにするためのものです。共済証紙は、あくまでも制度のルールに沿って、正規の方法で購入・使用されるべきものであり、自由に売買したり、他人から譲り受けたりできるものではありません

制度外で取得した証紙を使用した場合、退職金が支払われないばかりか、事業所が調査対象や処分の対象となる可能性もあるため、注意が必要です。

建退共証紙はネットで購入できる?

「忙しくて金融機関に行けない…ネットで証紙を買えたら便利なのに」そう感じる方もいるかもしれませんが、建退共証紙は公式にはネット購入できません。

建退共の約款により、共済契約者が証紙を購入できるのは指定された取扱金融機関(主にゆうちょ銀行や信用金庫など)に限られており、購入時には「共済契約者証」の提示が必要です。個人や第三者が自由に購入できるものではありません。

一方で、インターネット上(ヤフオク・メルカリ等)では非公式に証紙が売買されている実態もあります。しかし前述のとおり、こうした証紙は制度上「正規に購入されたもの」とみなされず、証紙受払簿にも記載できません。

建退共証紙は必ず正規の金融機関で購入する必要があり、ネットでの購入は避けるべきです。制度の信頼性を守るためにも、適正なルートでの運用を徹底しましょう

なお、「金融機関に行く時間が取れない」「証紙の保管や貼付が手間」と感じている方は、建退共が推奨している「退職金ポイント方式(電子申請方式)」の導入を検討するのも一つの選択肢です。この方式では、証紙の購入や管理が不要となり、就労実績をオンラインで簡単に登録・納付できるため、業務負担の軽減や証紙の余り・紛失リスクの解消にもつながります。

総括:建退共証紙を買取に出すのは違法?金券ショップでの買取相場や払い戻し方法まで解説!

建退共証紙は、退職金制度の一部として扱われる正式な書類です。余ってしまった場合でも、他の工事での再利用や、1日券⇔10日券の交換といった制度内での対応が基本です。

一方で、ネットや金券ショップでの売買は制度に反しており、偽造品のリスクや退職金不支給などの重大なトラブルにつながる可能性もあります。建退共からは注意喚起や約款の整備も行われており、慎重な対応が求められます。

証紙の管理が負担な方は、電子申請方式への移行もおすすめです。事務の効率化とミス防止に繋がる新しい選択肢として注目されています。制度の趣旨を理解し、証紙は正しい方法で取り扱いましょう。

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