建退共の証紙が3冊あるけど、「これって実際いくらになるの?」と気になったことはありませんか?
建退共は、建設業で働く人が対象となる退職金制度で、証紙を使って掛金を積み立てる仕組みになっています。
本記事では、「証紙3冊でいくらになるのか?」を中心に、計算方法や退職金のもらい方、「思ったより少ない…」と感じる理由など、現場でよくある疑問をわかりやすく解説します。
仕事で忙しくて制度まで気が回らない方も、これを読めば証紙の価値がしっかり見えてくるはずです。
記事のポイント
- 建設業退職金共済とは
- 建退共の証紙3冊分、実際いくらもらえる?
- 「退職金が少ない」と感じるのはなぜ?
- 退職金の支払い、どれくらい時間がかかる?
- 今すぐお金が必要なとき、どうすればいい?
この記事を書いた人

事務員たなか(@tanaka_kodozimu)
建設業事務員のたなか(@tanaka_kodozimu)です。
元SEで安全書類作成をメインに、経理・総務・人事・IT土方なんでもやっています。
子ども二人の限界主婦。事務作業や子育てが少しでも楽になる情報を発信しています。
目次
建退共の手帳3冊でいくらもらえる?

- 建退共とは?証紙って何のためのもの?
- 建退共の証紙3冊でいくらもらえる?
- 証紙3冊=どのくらい働いた計算?5年と比較してみよう
- 建退共の退職金が「少ない」と感じる理由とは?
- 建退共の退職金のもらい方と早くもらうには?
建退共とは?証紙って何のためのもの?

建設業退職金共済制度(建退共)は、建設業で働く人のために国が設けた公的な退職金制度です。現場や雇用形態が変わっても掛金の積立を継続できるしくみで、一定の条件を満たすことで、建設業を離れた際に退職金が支給されます。
この制度では、元請・下請を問わず、事業主が作業員の就労日数に応じて「証紙」と呼ばれる掛金(1日あたり320円)を購入し、共済手帳に貼付します。貼られた証紙の枚数=そのまま退職金額ではなく、掛金の納付月数によって変動し、24ヶ月以上経つと支給額が掛金の満額に近づき、長期加入することで運用益も加わっていきます。
建退共は、異なる会社で働いた日数も通算されるため、現場を渡り歩くことの多い建設業労働者にとって、継続的に退職金を積み立てられる利点があります。また、新規加入者に対しては、国が共済手帳の初回交付時に50日分の掛金を助成する仕組みもあり、制度の普及と継続を支えています。
証紙は一見すると小さな紙片ですが、正しく管理され、適切な条件のもとで運用されれば、将来の生活を支える重要な退職金となるのです。
建退共の証紙3冊でいくらもらえる?

建退共の共済手帳1冊には、250日分の証紙を貼付することができます。つまり、3冊分で貼付できる証紙の総数は750枚。2025年現在、証紙1枚あたりの掛金は320円ですから、単純な掛金合計は「750枚 × 320円 = 240,000円」となります。
しかし、退職金として受け取れる金額は、この掛金総額とイコールではありません。建退共では「掛金納付月数」に応じて支給率が変動し、たとえば12ヶ月未満では支給なし、12〜24ヶ月未満では掛金の3〜5割程度、24ヶ月以上で満額に近づくとされています。
証紙750枚は、月21日勤務で計算すると約35ヶ月分、つまり3年弱の加入期間に相当します。この場合、試算表上ではおおよそ241,920円の退職金が支給されるとされています(※年度や運用状況により変動)。
建退共は掛金をもとに運用益も加えて支給される制度です。支給額は単なる掛金の合計ではなく、制度の条件や納付状況によって増減しますので、正確な金額を知りたい場合は、建退共支部または公式サイトの試算ツールを活用すると安心です。
※参考:建設業退職金共済事業本部「退職金資試算」
証紙3冊=どのくらい働いた計算?5年と比較してみよう
すでにご紹介した通り、証紙3冊分(750枚)で受け取れる退職金の目安は、約24万円前後です。一般的な月21日勤務の現場で換算すると、これはおよそ3年弱分の勤務に相当します。
一方、仮に建退共に約5年間継続して加入していた場合、証紙の枚数は1,200枚前後となり、退職金額も40万円台程度に増えるとされています(※すべての証紙が320円の場合)。
建退共は、単に「勤続年数が長ければ、比例して金額がどんどん増える」という単純なものではありません。詳しい理由や制度の特徴については、次のセクション「退職金が少ないと感じる理由とは?」で詳しく解説します。
建退共の退職金が「少ない」と感じる理由とは?

建退共に何年も加入していたのに、退職金の支給額を見て「思ったより少ない…」と感じた経験はありませんか?
そうしたケースには、制度上・実務上の複数の理由が関係しています。
建退共の退職金が「少ない」と感じる理由
- 納付期間が短いと満額支給にはならない
- 証紙の貼付が義務ではなく任意である
- 制度自体が“退職金の足し”という位置づけである
納付期間が短いと満額支給にはならない
まず前提として、建退共の退職金は「掛金納付月数」によって支給額が変動します。12ヶ月未満の納付では支給対象外、12~24ヶ月未満は掛金総額の3~5割程度、24ヶ月以上でようやく満額に近づく仕組みです。掛金の合計額が多くても、納付期間が短いと満額支給にはなりません。
証紙の貼付が義務ではなく任意である
次に、証紙そのものが貼られていないケースについてです。建退共の制度は、建設業で働く多くの作業員が対象となる一方で、証紙の貼付(掛金の納付)は義務ではなく任意とされています。つまり、制度の対象であっても、雇用側が証紙を購入・貼付していなければ、退職金の積立は行われていないことになります。
会社の就業規則や労働条件通知書に「労働日数に応じて建退共制度の証紙を支給する」といった記載がある場合、それに反して証紙が支給されなければ、事業者側の違法行為とみなされる可能性があります。一方で、そうした取り決めが明文化されていない場合には、「現場に出て働いたのに証紙が支給されなかった」としても、事業者に法的な義務違反があるとは言えないのです。
こうした制度の“任意性”を理解し、自分が加入対象になっているか、証紙が確実に貼られているかを定期的に確認することが重要です。
制度自体が“退職金の足し”という位置づけである
加えて、建退共は制度の構造上、「退職金の中心」ではなく「補助的なもの」として設計されているという点も、支給額が少なく感じられる一因です。
まず、掛金は日額一律で、2025年現在は1枚あたり320円となっています。これは何年働いても金額が変わることはありません。つまり、勤続年数が長くても、他の企業型退職金制度のように「在籍年数に比例して右肩上がりで支給額が増える」わけではないのです。
また、共済資産の運用益も支給額に上乗せされますが、その増加はゆるやかで、急激な金額アップは見込めません。
実際、都内の中小企業の平均的な退職金水準と建退共の支給額を比較すると、その差は年数が長くなるほど大きくなっていきます。
勤続年数 | 3年 | 5年 | 10年 | 20年 | 30年 | 定年 |
都内の 中小企業退職金平均 | 約26万円 | 約46万円 | 約120万円 | 約377万円 | 約709万円 | 約1,220万円 (※会社都合) |
建退共 | 約24万円 | 約41万円 | 約89万円 | 約193万円 | 約303万円 | 約420万円 |
ご覧の通り、勤続年数が3年・5年と短い間は中小企業と大きな差はないように見えますが、10年、20年、定年となる頃には数百万円単位の差が生まれます。
このことからも、建退共の退職金はあくまで「補助的な退職金制度」と捉え、自身の加入状況や受給条件をしっかり把握しておくことが大切です。もし企業の規定などに建退共以外の退職金制度がない場合は、自分で備えを考える必要があるかもしれません。
建退共の退職金のもらい方と早くもらうには?

「退職金をすぐにでも受け取りたい」――そう思う人は少なくありません。
特に生活費や支払いが控えているとき、少しでも早く現金化したいと考えるのは自然なことです。ここでは、建退共の退職金をスムーズに受け取るための手続きと、並行して検討したい公的制度について解説します。
まず、建退共の退職金は自動で振り込まれるものではなく、本人が申請しなければ支給されません。「退職金請求書(様式第007号)」に必要事項を記入し、共済手帳・住民票・請求事由に応じた証明書(雇用証明や診断書など)を揃えて、最寄りの建退共支部に提出します。
支給されるのは以下のような場合です:
支給対象となる条件
- 建設業から離れて独立したとき
- 一般企業に転職したとき
- 建設業界を完全に離れ、就職しない状態になったとき
- 満55歳以上になったとき
- 病気やけがで働けなくなったとき
- 本人が亡くなったとき(遺族請求)
一般の企業は、その会社を辞めたときに退職金をもらえることが一般的ですが、建退共の場合「建設業から離れたとき」が支給の対象となります。これらのいずれかに該当し、かつ掛金納付月数が24ヶ月以上であれば、退職金の支給対象となります(死亡時は12ヶ月以上で支給可)。
建退共の公式ホームページによると、書類がすべて整っていた場合でも、受付から実際の振込までには約1か月程度かかるとされています。書類不備があると、それ以上の時間がかかるため、「早く受け取りたい」なら、まずは必要書類を漏れなく、正確に提出することが鉄則です。
「本当に急ぎでお金が必要」なら、雇用保険(失業給付)との併用を
現金が早急に必要な場合は、建退共だけでなく、雇用保険の失業給付の活用もセットで考えることをおすすめします。特に、2025年4月からは制度が一部緩和され、自己都合退職者の「給付制限期間」が2か月→1か月に短縮されました。つまり、退職後すぐに手続きを行えば、約1か月+7日の待機期間で給付が開始されるケースが多いです。
退職金と失業保険は併用して受け取ることができるため、「まずは失業保険で生活を安定させ、その後に建退共の退職金を受け取って再スタートに備える」という流れを意識すると、金銭面での不安を最小限に抑えることができるのではないでしょうか。
リンク
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総括:【建退共】手帳3冊でいくらもらえる?退職金が少ないと感じる理由となるべく早く受け取る方法を解説
建退共の退職金は、建設業で長く働いた人にとって貴重な“退職時の備え”ですが、制度の仕組みや加入状況によって支給額に大きな差が生まれるのが現実です。
- 「証紙がどれだけ貼られていたか」
- 「掛金納付月数が何ヶ月あったか」
こうした条件を知らずにいると、「思ったより少ない…」という事態になりかねません。
建退共はあくまで「退職時の足し」として機能する制度です。
大きな期待をしすぎず、自身の手帳や証紙の状況をこまめに確認し、制度を正しく理解したうえで計画的に備えていきましょう。
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